裏金事件がこれだけ問題になったのに大した処分もなく、「次の選挙でも結局、政治は変わらないのでは」と諦めを抱く人もいるかもしれない。決してそんなことはない。有権者の間で「落選運動」が大きなうねりとなれば、選挙結果は変わる。裏金問題だけでなく、そのほかのスキャンダル議員たちにも、安易に当選の「禊(みそ)ぎ」を与えてはならない。
その筆頭は旧統一教会との関係を誤魔化し続けた山際大志郎・元経済再生相だろう。次の総選挙は区割り変更で神奈川新18区から自民党公認で出馬することになる。
本人は「ほとぼりがさめる」のを待つ作戦のようで、お詫び行脚などは行なっていない。地元の自民党地方議員が語る。
「山際さんは野党の対立候補は新人だから勝てると見ているんでしょう。昨年の川崎市議選で選挙区内の自民党市議2人が落選し、責任を問う声が上がると、山際さんは『いや、自分の責任ではなく、維新に風が吹いたんだ』と言い張った。地元市議にも人望はないし、山際さんを応援すると自分も教団と関係があるのではないかと見られかねないと心配する市議も多い」
落選させるチャンスは十分ありそうだ。
記憶に新しいところでは自民党青年局近畿ブロックが開催した「ハレンチ懇親会」に出席して青年局長・同代理を辞任した藤原崇氏と中曽根康隆氏がいる。
「群馬は保守王国とされてきたが、中曽根さんの選挙区の1区の大票田である前橋市長選(今年2月)は自公推薦の現職が野党系の新人に大差で敗れた。自民党の基礎票が大量に逃げたからだ。中曽根大勲位の孫でも、あの逆風だと当選は容易ではない」(保守系市議)
コロナ禍の緊急事態宣言中の銀座クラブ通いで自民党を離党、前回総選挙で落選した松本純・元国家公安委員長も忘れてはならない。
いつの間にか自民党に復党し、落選中ながら自民党副総裁特別補佐の役職を与えられた。
「松本さんは1回落選で禊ぎは済んだと返り咲きに必死です。地元の朝市の手伝い、台湾東部沖地震の募金活動と精力的に動いています」(地元議員)
選挙は政治家の禊ぎのためのものではない。緊急事態宣言で我慢を重ねた国民の気持ちもわからない政治家を「1回の落選」で有権者が免罪すると考えるのは甘すぎる。
※週刊ポスト2024年5月3・10日号