昼の帯番組『ぽかぽか』(フジテレビ系)が、新たな企画で話題を集めている。昭和歌謡グループ・SHOW-WA による生歌唱企画が、少しずつ注目度を上げているのだ。デビュー前のグループを番組側が取り上げる狙いと、グループの人気の背景についてコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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昼の帯番組『ぽかぽか』で今年1月から生歌唱していたグループ・SHOW-WAの人気がジワジワと上がり、新たな展開を迎えています。
SHOW-WAは「昭和歌謡・昭和ポップスを現代に」というコンセプトで生まれた秋元康さんプロデュースのグループ。メンバーは、料理研究家の寺田真二郎さん(40歳)、元モデル・俳優の山本佳志さん(35歳)、ボーカルグループ・SOLIDEMOのメンバーだった向山毅さん(35歳)、元大手企業勤務の塩田将己さん(32歳)、元Jリーガーの青山隼さん(36歳)、元カメラ技術会社勤務の井筒雄太さん(32歳)とさまざまなバックボーンを持ったメンバーが集結しています。
そのSHOW-WAは3月30日に「単独イベントに1000人」という古坂大魔王さんからのミッションをクリアする2156人を集客。現在は第2のミッションとして「観客動員数累計5万人」を目指して、連日『ぽかぽか』のエンディングで生歌唱するほか、毎週木曜には歌・ダンス・MCのトレーニングに励む様子も放送されています。
ここに来てさらに注目度が上がったのは秋元康さんがプロデュースする、もう1組のグループ・MATSURIとのデビューを賭けたファン投票対決が決まったこと(詳細は後日発表)。その対決を盛り上げるべくGWの放送(4月29日~5月3日)では、SHOW-WAとMATSURIの2グループが順番に生歌唱し、初日からいきなり過去最高の802人を集客しました。
なぜ『ぽかぽか』とフジテレビは、デビュー前で成長途上にあるグループをこれほどフィーチャーするのか。番組の狙いや徐々にファン層を拡大している理由をあげていきます。
全エンタメの中でもレアなコンテンツ
なぜ『ぽかぽか』とフジテレビは、デビュー前のグループをこれほどフィーチャーするのか。
SHOW-WAの歌唱コーナーは番組の最後であり、事実上のエンディング曲。そのため番組全体に影響を及ぼすことはない上に、「徐々に人気が上がったら、もっと重点的に採り上げていく」という発展性の期待もありました。
そもそもSHOW-WAとMATSURIを輩出した「夢をあきらめるな!男性グループオーディション」は、「avex」「ジャパン・ミュージックエンターテインメント」「Y&N brothers」という芸能界の大手が開催したこと。さらに、両グループは昨年12月から今年2月まで全国のイオンモールをめぐるツアーを行ったほか、イベントなどへの出演で地道にファンを増やしていたことも、番組にとってはプッシュできる材料の1つでしょう。
とはいえ、『ぽかぽか』での集客は初日の43人から17人にまで落ち込んだ日もあるなど、決して順風満帆ではありませんでした。しかし、それでも視聴者やファンに、集客のガチンコ感や彼らの本気度が伝わり、ポジティブなムードが生まれていったのです。
2020年代に入ったあたりから、さまざまなグループを輩出したオーディション番組が放送・配信されてきましたが、これらと『ぽかぽか』におけるSHOW-WA、MATSURIのコーナーは、まったくの別物。「連日の生放送で編集できず、嘘がつけない」「リアルな悲喜こもごもや成長過程が見られる」という、テレビにかかわらず全てのエンタメを見渡してもレアなコンテンツであり、注目度が上がるのは当然かもしれません。
また、「昼の帯番組としては後発の『ぽかぽか』そのものがSHOW-WAと似た苦しい状況」というニュアンスも面白さの1つ。これまで番組内で何度か「続行決定!」などと自虐していたように視聴率獲得で苦境が続く『ぽかぽか』は、「夢をあきらめるな!」というオーディション名の通り、セカンドチャレンジに挑む崖っぷちのSHOW-WAと重ね合わせられる感があります。
「MCのハライチと神田愛花さんがSHOW-WAを見守るような温かいムードも、『ぽかぽか』の新たな魅力として加わった」と言えるのではないでしょうか。