警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、山口組の機関紙『山口組新報』に掲載されている「川柳」に込められた本音について。
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今回の『山口組新報』はいつもと違っていた。第30号記念〈増刊号〉と銘打たれ、きらびやかで鮮やかな表紙がついている。胸章の白いリボンバラの真ん中に「30」の金文字が光り、紅白のリボンが垂れ下がるデザインだ。カラフルな胸章はお祝い事につけられるもので、一般的に白バラは主催者側とされている。その後ろには過去の号が並んで掲載されていた。
初めて見る華やかなデザインに驚いていると、「たぶんヤクザジャーナルの編集者の誰かがデザインにかかわってるんだろう。俺が知る限り、山口にこんなデザインをできるようなやつはいないと思う」と、新報をコピーして渡してくれた山口組関係者は話す。2013年7月創刊から10年、「おかげさまをもちまして、今回30号発刊となりました」とリボンには書かれていた。
『山口組新報』は六代目山口組が傘下組織に向けて発行している機関紙だ。毎号全頁オールカラーのB4判8枚からなるが、30号記念の今号は10頁だ。その内容は「六代目親分御誕生日」に組内の人事、年末に行われた餅つき大会の様子、「命日法要」にNEWSポストセブンでも記事が載っていた能登半島地震のボランティア活動などなど。六代目山口組の組として、この時期どのような行事を行っていたのかがよくわかる紙面になっている。毎号7頁目にある俳句・川柳・短歌・狂歌のコーナーは増刊号ということで9頁目に載っていた。
6代目山口組の世相を表しているともいえる川柳コーナーでは、いかにもヤクザといえるような句やシノギや事件に絡んだ句もあれば、健康不安や夫婦関係を詠んだ句までテーマは幅広い。コロナ禍では自粛やワクチンに関する句が目立ったが、今回はそれもなくなりヤクザ社会もようやくコロナ前に戻ったようだった。
ヤクザ業界ではどの組でも高齢化が心配されているが、六代目山口組もその例に漏れず、組織の高齢化は深刻だろう。組長の司忍氏は82歳、ナンバー2の若頭、高山清司氏は76歳、舎弟頭の青山千尋氏は77歳、本部長の森尾卯太男氏は70歳。傘下の組長らもほとんどがシニア、組員たちもシニア世代が多いといわれ、〈これは観た クライマックス 観て気づく〉と句に頷く組員も多いことだろう。健康に関する句は今回も〈窓開けて 換気しすぎて 風を引く〉〈大寒に 大活躍の コルセット〉が選ばれている。