いちファンが社長に
5月10日、苦境のなか新社長に就任した今村氏が地元住民、ファン、メディアに対し内覧会を実施した。今村氏は「タモリのボキャブラ天国」(フジテレビ系)に出演したこともある元芸人で、現在は放送作家として『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などで活躍しているが、経営経験はない。“素人”でもある彼がなぜ社長に就任したのか。
「きっかけは私の息子が『ラブライブ』にハマったことで、僕も一緒に見ていたらファンになった。そこでこの淡島を訪れたら景色や周りの空気に感動してしまって。食事も美味しいですし。このマリンパークで働く従業員の方々のやさしさに触れて、20回以上ここに訪れていました」(今村氏。以下同)
突然の閉園発表の際にはいちファンでしかなかった今村氏。「思ったよりお客さんが来てなかったのか……」とショックを受けたという。しかし、『ニュースキャスター』で水族館を取材したディレクターから「赤字ではなく、現場の人間は経営を続けたいようだ」という話を聞いたことが転機になった。
「別のところから、オーナー企業が『一定額を払えば経営権を譲渡する』意向だと聞いて。お金さえなんとか集めたら続けられるのかと。そこからディレクターに館長さんの連絡先を聞いて、どれだけ自分がこのマリンパークを愛していて、いかに素晴らしい場所なのかを何度もメールしました。当初は、館長さんのことも“敵”だと思っていたので『この場所の価値をわかっていないんじゃないか』などと言ったこともありました(笑)」
今村氏は3月1日から資金集めに奔走。志を共にする仲間も生まれ、今村氏が借金をする形でなんとかお金をかき集め、オーナー企業が経営権を譲渡。周囲から「今村が中心になって動いたんだからお前が社長だ」と言われて就任する運びになったといい、「社長をやりたいという人がいたら、いつでも譲ります」と笑顔で語る。