2022年の初演時に、演劇界に大きなインパクトを残した舞台『千と千尋の神隠し』。原作はスタジオジブリの宮崎駿監督の名作で、その独特の世界観やカオナシ、湯婆婆、釜爺など多彩なキャラクターたちを舞台化するには難易度が高いと思われる中、見事なまでに映画の世界を具現化してみせた。
待望の再演となる今回は東京・帝国劇場で幕を開け、愛知・御園座公演を経て、現在は福岡・博多座で公演中(5月19日まで)。さらに大阪・梅田芸術劇場メインホール、北海道・札幌文化芸術劇場hitaruへと公演が続く中、日本での上演と並行して、演劇の聖地イギリス・ロンドンコロシアム劇場でも4月30日から8月24日までロングラン公演を実施。日本の演劇界にとって、歴史的な挑戦を担っている。
その話題作で、主要キャストのハク役をオーディションで勝ち取ったGENICの増子敦貴。GENICのメンバーとしてアーティスト活動を精力的に行いながら、役者としても飛躍するいまの思いとは──!?(全5回の第1回)
──今回の取材にあたって、事前に『女性セブン』公式Xで質問を募集していますが、その質問には次回PART2からたっぷり答えて頂きたいと思います。まずは、幕開けとなった帝国劇場公演を終えた心境はいかがでしょう?
最初はとっても不安で、プレッシャーでいっぱいでした。同じハク役のお2人(※注:トリプルキャストで、醍醐虎汰朗と三浦宏規が同役を演じる)は初演も出られているけど、ぼくは初めてだったので……。
──これまで舞台の経験はあると思いますが、帝国劇場に立つのは初めてでしたよね。
はい。でも、初日が明けてからは毎日が楽しくて!どうしたらもっとお客さんに刺さるハクを演じることができるんだろうっていう研究を、毎日していました。
──帝国劇場の公演期間には、GENICとしての全国ツアーも重なっていました。GENICのメンバーを選出するオーディションを受けていた頃は、俳優としてやっていくか、アーティストしてやっていくのか悩まれていた時期もあったと思います。あの当時は、両立できるほど自分は器用じゃない……とおっしゃっていた増子さんが、時を経て、どちらのお仕事も両立させながら全力で取り組まれていると思いますが、ご自身はその変化をどう捉えていますか?
デビューしてからドラマや舞台など、(俳優としても)いろいろなお仕事をさせていただいて、それと同時にGENICのツアーというのは毎年のようにあったので、場数を踏んで慣れてきた……ということはあると思います。ただ、どちらも200%頑張ろう!と思ってもそれは難しいと思うので、まずは目の前のことを100%頑張ろうという気持ちで取り組んできました。
──とにかく目の前のお仕事に集中することを、心がけてきたんですね。
はい。極端に言えば、明日の予定は前日の夜に知るくらいの気持ちでいるんです。あまり深く考えすぎないようになりました。毎日、新しい日がやってくるので、日々、新鮮さを感じながらチャレンジャー精神を持って、楽しみながらお仕事に取り組めています。だから、両立させよう!みたいには思っていないんですよね。