──あのシーンで増子さんが演じるハクが千尋に話しかけるところを見ていると、改めて千尋はまだ10才の女の子なんだ……ということを痛感しました。では次の質問です。「ハクがヒトから龍に変身する場面とても好きです。歴史ある帝劇で演じることが決まったときはどう感じましたか?」。
ぼくが初演を見させていただいたときに、あのシーンを見てすごく興奮したので、それを演じることができるなんてすごく嬉しいなと思いました。最初の踊り出しで“和の見せ方”にしたかったので、そこは意識しています。
──この質問には続きがありまして、「また、トリプルキャストで三者三様かと思いますが、ここだけは特に変えている!というところはありますか?」とのことです。
難しいな~。というのも、ほかの2人が演じているところを、たくさん見ているわけではないので。所作に関しては衣装にサポートしてもらっている部分もあるので、数百メートル離れたところから見ればあまり差異はないかもしれないんですけど。3人ともテンポ感やセリフを言うときの声の質は、全然、違うんじゃないかなと思います。
──では次の質問です。「あっちゃんがハク様を演じていて大変なシーンや、難しく感じたところはありましたか?」。
湯婆婆に「お待ちください」と言った後に、「まだわかりませんか?」と言うシーンは難しかったです。「まだわかりませんか?」というセリフを、湯婆婆に対して訴えかけるように言う方が良いのか。自分の方が一枚上手だ……という気持ちで言うべきなのかで悩みました。
──では次の質問です。「ハクを演じるにあたり、腑に落ちない動きに関しては、違う動きをジョンさんへ提案し、適否の判断をいただいたそうですが、実際にゴーサインがもらえた動きやシーンを教えて欲しいです」。
序盤で、ハクが千尋に赤い実を食べさせるシーンがあるんです。赤い実を千尋に手渡すんですけど、その動きは3人それぞれのオリジナルになっていて違います。
──では次の質問です。「ハクの好きなセリフ、難しいセリフはありますか?」。
これ、コタくん(醍醐虎汰朗)と話題になって、意外とそこだよね!って共感しあったのが「帰るときにいるだろう」って言うセリフ。これが言いにくくて、難しいんです。しかも劇場がシーンと静まり返っている状況の中で言うのが、言いにくいんですよね。
──台本で文字だけ見ている分には、難しくなさそうに思える言葉が、意外と難しい……ということがあるんですね。
そうなんです。ほかにも「風と水の名において」とか、「探しているのだ」といったセリフも、考えすぎてしまうと言いにくく感じるんですけど。「帰るときにいるだろう」は、やればやるほど、不思議と言いにくさを感じてしまうんです(笑い)。
(PART4に続く)
◇舞台『千と千尋の神隠し』公演情報
東京・帝国劇場で幕を開け、愛知・御園座公演を経て、現在は福岡・博多座で公演中(5月19日まで)。大阪・梅田芸術劇場メインホール、北海道・札幌文化芸術劇場hitaruへと公演が続く。また、日本での上演と並行して、演劇の聖地イギリス・ロンドンコロシアム劇場でも4月30日から8月24日までロングラン公演を実施。
撮影/黒石あみ