約1か月ぶりに公の場に現れたドジャース大谷翔平選手の元通訳、水原一平被告の様子は、さまざまなメディアで報じられ、そのやつれた様子に驚きの声が上がった。1か月前とほぼ同じ服装なのに、なぜ印象が異なるのか。臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、「白シャツの第一ボタン」に着目して分析する。
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ドジャースの大谷翔平選手の口座から、日本円にしておよそ26億円を不正に送金したなどとして、銀行詐欺などの罪で起訴された元通訳の水原一平被告が、14日(日本時間15日)、ロサンゼルス連邦地裁に出廷した。多くの報道陣が待ち構える中、事件発覚後、初めて公の場に姿を現した水原被告だが、その表情はまるで能面のようだった。
車から降りた水原被告は前回の出廷時と同じで、黒のスーツに白いシャツ、ノーネクタイ姿。違っていたのは第一ボタンをはずしていたことだ。前回、法廷に姿を見せた際は、シャツのボタンを一番上まで留めていた水原被告。入廷する際は足かせをつけられ、歩く度に鎖を引きする音が静まり返った法廷内に響いていたと報じられていたが、この時はまだ銀行詐欺容疑で刑事訴追されている段階で、被告ではなく容疑者だったのだ。
シャツの第一ボタンを留めているか、いないかというのは小さな差だが、相手が受ける印象はずいぶんと違うものだ。一般的にはシャツのボタンを上までしっかり留めていれば、真面目で几帳面など少々固い印象を与えやすくなる。その反面、ボタンをはずしていればカジュアルでラフな印象になる。容疑者として初めての出廷であれば、少しでも裁判官に与える印象を良くしたいという意識が働いたとしても不思議ではない。だが今回はすでに司法取引に応じて罪を認めているという段階だ。裁判官の心証をよくするよう取り繕う必要もなかったのだろう。
首元は人間にとって「急所」
次に考えられるのは、前回は無意識のうちに自分を守ろうとしたのではないかということだ。首元は人間にとって大事な急所だ。出廷時の不安から、自分を守ろうとして第一ボダンと留めたという推測もできる。また『非言語行動の心理学 対人関係とコミュニケーション理解のために』(北大路書房)で心理学者のV・P・リッチモンドとJ・C・マクロスキーは、服は自分の身体を隠す隠蔽性や保護性を持つと書いている。身体を覆えば覆うほど、自分を隠し保護することができるのが服。この時はまだ隠していることがあったのだろう。その後、大谷選手から歯の治療費を騙し取っていたことも判明している。