本誌・週刊ポスト前号(2024年5月7日発売号)で1000万円を「金利60%」で知人に貸し付けていた疑惑を報じた日本維新の会の中条きよし・参院議員。中条氏は記事を真っ向から否定したが、疑惑は全く払拭されていない。
会見でも明かされなかった契約書の詳細
本誌が質問書を送った翌日(5月1日)に中条氏は国会議員の資産等報告書を修正。貸付金を「0円」から「1000万円」に訂正したうえで、5月8日のぶら下がり会見で貸し付けた事実を認め、契約書が手元にあるとして、「金利の部分は空欄になっています。金利をもらおうと思ったことは一度もない」と説明した。
本誌が確認した中条氏の本名で交わされた「金銭消費貸借契約書」の第2条〈利息〉には〈利息配当は年60パーセントとする〉との記載があり、さらに第3条には〈返済方法および利息の支払い方法〉の規定がある。
一方、中条氏の主張は「自分の持つ契約書では利息そのものを約束していない」というものだ。ただし中条氏が持つとされる契約書の詳細が会見で明かされなかったこともあり、“身内”の維新関係者からも疑念を呈する声が上がった。
松井一郎・前代表が会見に先立ちX(旧ツイッター)に「違法金利はダメ、事実であれば中条さん、潔く辞職すべき」(5月3日)とつぶやけば、元大阪市長で弁護士の橋下徹氏もその後のテレビ番組で、「業として、繰り返し貸していた場合は、年利20%(以上)はアウト。刑事罰になり、議員辞職になる」(5月8日)と発言。
元東京地検公安部長で代議士も務めた若狭勝・弁護士はこう指摘する。
「もちろん、業として年利60%の貸付をしていれば違法行為ですし、中条氏の説明にある『金利の記載なし』という契約書があっても問題は残る。貸借契約で金利を書かねばならないという法律はありませんが、贈与ではないことを示すために、利息を明記するのは大事な要素となります。金利がないと、この貸借が実際には贈与なのではないかとの疑念を生む。贈与税などの問題を生じさせない対策としても、金利を書くのは基本です。書かないと、後に借り手とのトラブルにつながる可能性もある。その意味で、金利を空欄としたのは適切な対応ではない」
中条氏は今回の報道を受けて資産等報告書の訂正を行なった。それについて若狭氏はこう言う。
「そもそも資産報告は、国会議員の資産がどう増減したかを検証可能にする制度で、まず国会議員になった時に提出し、その後も毎年、提出をする。だから正確な報告をして国民のチェックを受けねばならない。たとえ国会議員になる前の貸付でも、議員になった後に借金帳消しや債権放棄をすれば利益供与にあたる可能性があるが、資産等報告書に貸付金なしと記載していれば、その後の処理がわからない。訂正なきようにするのは当然の義務です」