「総理就任」と「外装就任」を祝う会の酷似したカラクリ

「総理就任」と「外装就任」を祝う会の酷似したカラクリ

 この問題は国会で追及され、岸田首相は「地元政財界の皆さんが発起人となり開催いただいた純粋な祝賀会」と言いながら、「振込先の口座開設など様々な手続きについて、私の事務所の人間がお手伝いをした」と事務所の関与を認めた。そのため祝う会疑惑について政治資金規正法違反の虚偽記載容疑で広島地検に告発状が出された。

 野党側はこの脱法パーティーの手法を「岸田方式」と命名。収支の公開基準の厳しい国会議員関係政治団体から、基準の緩いその他の政治団体に資金を移して使途公開を逃れていた茂木敏充・幹事長の「茂木方式」と併せて、法改正による規制強化を主張している。

 ところが、岸田首相が指示して与党が合意した改正方針の骨子は、「茂木方式」の規制には触れているが、「岸田方式」の“脱法パーティー”の禁止は議論に上がっていない。岸田首相は自分の“脱法行為”を野放しにしておこうというのだ。

 自民党裏金問題と首相の「祝う会」問題を検察に告発した上脇博之・神戸学院大学法学部教授が指摘する。

「岸田首相のように任意団体主催の形でパーティーを開き、収支を公表せずに収益の一部を寄附させる手法は政治資金規正法の抜け道です。法改正で政治資金パーティーを規制しても、この抜け道を塞がない限り裏金を集めることができる。むしろ、法改正で規制を強めれば強めるほど、政治家は抜け道の“脱法パーティー”に走り、政治とカネの不正の温床になる危険さえあります」

 しかも、本誌は岸田首相が任意団体を利用した“脱法パーティー”の「常習犯」であることを新たに掴んだ。後編ではその詳細を報じる。

後編に続く

※週刊ポスト2024年5月31日号

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