「普通の年齢が3つ違いなだけの男性同士で、たわいもない会話をしましょう」。5月9日に引退を発表した宇野昌磨(26才)に対し、羽生結弦(29才)が寄せたのはこんなメッセージだった。
「ちょっとキザなようにも思えるこのメッセージは、羽生さんから宇野さんへの“アンサー”でした。というのも、2年前に羽生さんがプロ転向を表明した際に、宇野さんが寄せたのが『普通の20代の男性同士として、ゆっくり言葉を交わせる機会をつくってもらえたらうれしいです』というコメント。長年氷上でしのぎを削ってきた2人の絆が垣間見えるやりとりでした」(スポーツ紙記者)
同志の引退のニュースは、海を越えたアメリカにも届いていることだろう。現役時代の2人と火花を散らした北京五輪金メダリストのネイサン・チェン(25才)が5月の大学卒業を前に卒業論文を発表した。
「米国の名門イェール大学に通うネイサンの卒論のテーマはフィギュアスケート。これが羽生さんの卒論と真っ向勝負している“衝撃の論文”だと噂になっているんです」(フィギュアスケート関係者)
2020年、早稲田大学在学時に羽生が書いた卒論は、その専門性の高さが大きな話題になった。
「論文内で現行の採点ルールを『きちんと回転していない稚拙なジャンプを見極められていない』と批判し、人の動きをデジタル化できるモーションキャプチャを活用した新たな採点方法の可能性を探りました。競技のより公正な採点を追求した内容でした」(前出・フィギュアスケート関係者)
一方、ネイサンの論文はあくまでも現在の採点ルールの中で、どのようなジャンプ構成にすれば最も高得点が狙えるかを、1万2000以上の要素から解析したものだ。
「同じフィギュアスケートを題材にしながら、その視点は正反対。いまなお世界最高得点を保持するネイサンが指南する高得点を取る方法は現役選手にとっても魅力的な一方で、自身と対立する論文を提出された羽生さんにとっては屈辱かもしれません」(前出・フィギュアスケート関係者)