「生涯、女優だろう」
撮影現場では、高橋氏との間にこんなやり取りがあったという。
「奥田が演じた主人公・時田は『映画監督で大学教授』という役柄で、まさに俺と同じ境遇の役柄だった。土居がその時田に向かって『大学で先生やってるなんて、映画監督としてもう賞味期限切れだよね』と言い放つ台詞があった。
彼女は本番前に俺の前で面と向かって、その台詞を言ってきたんですよ。俺も思わず『おお、殴りたくなるね』なんて返したんだけどさ(笑)。臆することもなく、堂々としたもんですよ」(高橋氏)
体当たりの演技で注目を集めた土居はその後、数多くの作品に出演するようになる。朝ドラ出演は『虎に翼』が初めてだが、強い意思を持つよねの役柄は土居にとって「ハマリ役だろう」と高橋氏は言う。
「土居は濡れ場に対しても『いい作品にするためには顔を映すも身体を映すも一緒でしょ』という潔い覚悟を持っていた。その覚悟が、今回の男装の役にも見える。彼女は生涯、女優でしょうね。長く続けてほしいです」
よねは今後も物語のキーパーソンになりそうであり、土居の演技が益々愉しみである。
※週刊ポスト2024年5月31日号