出待ちをしていたファンにサインをするダルビッシュ
インタビューと侍ジャパンで見せた「人間的な成長」
その2009年シーズンの巨人との日本シリーズでは、腰痛と臀部痛で登板ができないと見られていたなか、2戦目に志願の先発。ステップの幅を小さくした立ち投げのようなフォームからのスローカーブを有効に使って勝利投手となった。
「この日本シリーズは最たるものですが、いろんなものを感じながらなげるという柔軟性があるというか、マウンドの上で修正ができるピッチャーでした」(梨田氏)
2023年のWBCでは国内の強化合宿から参加し、後輩たちに経験と技術を惜しげもなく伝えていた。その姿を見て、梨田氏は「ダルは変わった」と思ったという。
「日本ハム時代は人を寄せ付けないようなオーラがあったが、昨年のWBCではリーダーシップを発揮していた。インタビューでも昔はぶっきらぼうに話していたが、自分の気持ちをファンに伝えようとする今の姿を見て、ダルは人間的に大きく成長したと思いました。奥さんや子供という家族ができたことが大きいのではないか。このまま球数制限をしていけば40歳を超えても先発として投げることができると思いますね」
ダルビッシュが“恩師”と呼ぶ佐藤義則氏は、ダルビッシュが入団した時の二軍投手コーチ(翌年から一軍投手コーチ)だ。その佐藤氏は「日本ハム時代から仲間とは野球談議をしていましたよ。特に楽天の田中将大とは球場でよく立ち話をしていたよね」と証言する。日米通算200勝を達成したことについてはこう話した。
「もともと投げることが好きな器用なピッチャーでしたが、投げるための準備を怠らなかったね。日本ではうまさだけで勝てたけど、メジャーではバッターの凄さを経験したんじゃないかな。日本ではあんな大きなホームランを打たれることもない。パワーの違いもわかって、自分が成長しないとメジャーでは頑張れないと知ったんじゃないか。体も大きくなったし、まだまだ元気そうだからね」(佐藤氏)
日米通算200勝からどれだけ勝ち星を伸ばせるのか。ダルビッシュの挑戦はまだまだ続いていきそうだ。