イスラム組織ハマスに拘束されたドイツ系イスラエル人女性、シャニ・ルークさん(享年22)の遺体がガザから回収され、5月20日までに埋葬された。シャニさんはハマスの攻撃対象となった音楽フェスの参加者のひとりで、彼女が裸に近い状態で連行される映像は、世界中の人々に強いショックを与えた。
ある意味で、ハマスの越境攻撃による犠牲の象徴とも言える存在のシャニさん。イスラエルで行われた彼女の葬儀には、数百人の弔問客が参列したという。国際ジャーナリストが語る。
「イスラエル軍によると、シャニさんとほかの男女2人の人質の遺体は5月16日夜にガザ地区のトンネルで発見されたそうです。シャニさんの父親は、『深いトンネルの寒い場所に安置されていたようで、遺体の状態は非常に良好だった』と海外メディアで語っています。シャニさんはタトゥーアーティストで、自身も体にタトゥーを彫っていました。父親は、『(遺体は)肌の色もタトゥーもきれいに見える』とも話しています」
出回っていた生存情報
前出の動画の中で、シャニさんの足は不自然な方向に折れ曲がり、ぴくりとも動かなかった。そのためネット上では“すでに亡くなっている”と見る人々が多かったが、彼女の生存情報が出回っている時期もあった。
「ハマスによる越境攻撃の直後、シャニさんの母親であるリカルダ・ルークさんは、『娘が生きているとの情報を受け取った。頭部に重症を負い、ガザの病院に入院していると聞いた』とドイツのタブロイド紙『ビルト』で語っていました。
しかし、それから1週間以上が経っても進展がなく、リカルダさんは『私たちは生存情報を疑い始めている』と『ビルト』で涙ながらに話しました。そして10月末には、イスラエル国防軍を通じて、娘の死を知ったそうです。DNA鑑定により、発見された頭がい骨の一部がシャニさんのものであることが確認されたといいます」(前出・国際ジャーナリスト)
家族たちは、“シャニさんはハマスの戦闘員に頭を撃たれて死亡した”と捉えている。弟であるアミット・ルークさんは、イギリスのニュース専門局「スカイ・ニュース」の取材に対して、「(死の知らせに)安心した」と答えていた。また、父親のニッシムさんも「それほど苦しまずに死んだことがわかってよかった」とインタビューで語っている。