寅子とともに学んできた女子部の学生たち(写真は『虎に翼』公式Xより)

寅子とともに学んできた女子部の学生たち(写真は『虎に翼』公式Xより)

女性に対する偏見や数々の理不尽など描かれる“現実”

 でも、それより引き込まれるのは昭和初期の昔も令和初期のいまも、女性に対する偏見や男性中心である社会において女性が抱かざるを得ない数々の理不尽さ。寅子が共に学んできた友人・桜井ユキさん(37才)が演じた涼子や、平岩紙サン(44才)が演じた梅子、ハ・ヨンスさん(33才)が演じた香淑、羽瀬川なぎサン(25才)が演じた桜川家のお付き・玉のように、志半ばで夢を諦めざるを得なかったり、スタートラインにさえ立てなかったり、そのラインがどこに引かれているのかもわかっていない女性たちの“現実”です。

 都度、「はて?」という“お約束”の言葉をつぶやきながら立ち止まり、ハッキリと言いたいことを伝える寅子や、言い方は不器用極まりありませんが相手の性別や年齢や立場にかかわらず、常に卓袱台を引っ繰り返す覚悟を持って対峙するよねに対しては「カッコイイ」と思うと同時に「ありがとう」と感謝を伝えたいです。

 そんなよねが、轟役の戸塚サンと共に花岡役の岩田剛典サン(35才)を呼び出したシーンにはグッときました。よねの個人性の部分が垣間見えたことに加え、学生時代からよくも悪くもずっと“男”そのものだった轟の人間らしさと優しさに、ほっこりさせられたからです。

 花岡の想いに気づかなかった寅子がいけなかったとはいえ、目の前に婚約者を連れて現れたときには思わず、「ガンちゃん、それはないよ〜」と、声を上げてしまいました(苦笑)。

 今年1月期のドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)を見ていたときにも、令和も昭和も変わらないと落胆し、女性の窮屈さやどんな道を選択したとしても確実に居場所が確保されなかったり、守られているとは決して言えなかったりする女性の実情に、あ〜ぁと絶望的になったものでした。

 でも、それよりもさらに昔、寅子やよねのような女性たちが身をもって闘ってくれたおかげで、いまの私たちがあることは間違いありません。

 モデルの三淵嘉子さんは、とても魅力的なかただったといいます。8週目から「佐田」姓となり、子供を授かり、優三(仲野サン)と紛れもない夫婦となる寅子のオンとオフにさらに注目しつつ、“寅ちゃん”の幸せを願いたいと思います。

“まだ”のかた、『虎に翼』、ぜひご覧くださいね。

構成/山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!+』(メ〜テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。

※女性セブン2024年6月6日号


新婚生活をスタートさせ、弁護士の仕事も軌道に乗り始めた寅子だが、戦争に翻弄されることに。(写真は『虎に翼』公式Xより)

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