球団創設90周年という節目を迎え、屈辱の2年連続Bクラスからの復活を期す巨人。今季からは阿部慎之助・新監督(45)が指揮を執り、上位を伺うポジションにつけているものの、打線は低調気味だ。現役時代に巨人の名ショートとして活躍し、監督としてはヤクルト、西武で3度の日本一を経験した御意見番、広岡達朗氏(92)は言う。
「阿部は前任者を反面教師にして強い巨人に作り直せばいいが、それには時間がかかるんです。口を半分開けて三振しても威張って戻ってくるようなのが4番を打っているし、6億円ももらって休養しながらの坂本(勇人、35)など論外。阿部がこれから何を変えるかですよ。今のところ、間違っていない。足や小技を絡めて投手にプレッシャーをかけようという姿勢は見える。そこは、一発頼みだった前の監督の野球とは違う」
攻撃面では今季も試行錯誤は続いている。上位打線をなかなか固定できず、4月2日の中日戦では3番に高卒2年目の浅野翔吾(19)を起用して話題となった。広岡氏はこうした起用法には苦言を呈す。
「1試合とはいえ、3番に新入りを置いたのは阿部の間違いですよ。そのあとには3番で門脇(誠、23)を使い、今度は8番を打っていた吉川(尚輝、29)だ。クリーンアップというのは、チームの顔ですよ。“スターだなぁ”“モノになるなぁ”というのを起用しないとダメ。まあ、今の巨人のユニフォームを着ている者にそういう選手がいないのが問題なのですが」
森祇晶氏は「阿部監督は手持ちのコマでよくやっている」
監督就任1年目で、望んだかたちで戦力が整備されていないのはたしかだろう。巨人V9時代の正捕手で、西武監督時代は9年間でリーグ優勝8回、日本一6回の黄金時代を築いた森祇晶氏(87)は「阿部監督は手持ちのコマでよくやっている」という評価だ。
「内野はファーストに10年目の岡本(和真、27)がいて、サードに18年目の坂本を置いて、二遊間に若い2年目の門脇と8年目の吉川。ドラフトで獲得した選手を起用している。補強組の中田翔(35、現・中日)とかがいなくなって、むしろスッキリしたんじゃないかな。
前の監督と比較してはいけないが、去年まではFAで他所から獲ってきて簡単にポジションを与えてしまうから、若い選手が一生懸命やっていてもチャンスがなくなっていた。今年はある意味で若い選手たちがノビノビやっているわな」