「練り物には『ソルビン酸』が保存料として使われているケースが多く、発がん性に加え、微生物の増殖を抑える効果があるため腸内細菌に悪影響があることが指摘されている。
そうした風潮を受け、大手食品メーカーでは使用を自粛する方向へと向かっていますが、安価かつ手軽に入手できる添加物だからこそ、予算の少ない中小メーカーではまだ多くの食品に使われているのが現状です」(中戸川さん)
また、かねて専門家たちが「危険な添加物が多い」と声を揃えるのは、保存食として長く愛されてきたハムやソーセージなどの加工肉だ。かつてヨーロッパで肉を長期間、安全に保存するために塩漬けにしたことがはじまりとされ、もちろん自分で作れば日ごとに自然に色は落ちていく。しかし、店頭に並ぶのは何日経っても色鮮やかな商品だ。垣田さんが言う。
「多くの加工肉に使用されている『リン酸塩』にはカルシウムの吸収を妨げる作用があります。
肉の水分を保ち、やわらかい食感のまま保存性を高める目的で多くの商品に幅広く使われていますが、過剰摂取により骨粗しょう症や腎臓疾患のリスクを上げることが懸念されます」
実際、リン酸塩の弊害は世界各国の大規模調査や研究によって明らかになっている。ハーバード大学で食と健康を研究してきた内科医の大西睦子さんが指摘する。
「2009年、トルコの研究グループが腎臓病患者において血清リン酸の濃度が高いほど心血管疾患発症リスクが高まることを発表しました。さらにその5年後、米国のジョンズ・ポプキンズ大学の研究においては、健常人であってもリン酸塩摂取が死亡リスク増加に関与することが報告されています」
加えて注意すべきは、発色剤として使用されている「亜硝酸塩」だと垣田さんは続ける。
「ハムやソーセージを鮮やかに色づけする亜硝酸塩は肉に含まれるアミノ酸と反応し、発がん性物質である『ニトロソアミン』などを作り出すことが懸念されています」
きれいな赤桃色をしている加工肉など、人工でなければ存在しないのである。
(後編へ続く)
※女性セブン2024年6月6日号