「テレビの世界にいたから、有り難みが身に染みる」
──実際、志の輔さんなら、一つのネタで何千万円も生み出しているでしょうしね。そう考えると、すごい文化ですよね。
方正:自分でネタを考えなくてもいい。もらえちゃうわけですから。テレビタレントがメインだった時代、ダウンタウンのネタやったら、パクッてるって、すごく怒られたんですよ。テレビの世界は自分のもんは自分のもん。ちょっとでも他人のものを使ったら蔑まれる。それも当たり前と言えば当たり前やけど、落語の世界は違うんです。
──ネタは落語界の共有財産という考え方ですよね。
方正:これもくれるんですか、えっ、これももらっていいんですか。しかも、タダでいいんですか、ってね。その上、そこはこうやったほうがええでとか、ああやったほうがウケるでって、みんなが教えてくれる。僕はテレビの世界にいたから、その有り難みが余計に身に染みるんです。こんなにええ世界はないでしょう。これが落語なんですよ。
(全3回の第2回。第3回を読む)