使途が公開されない「官房機密費」の資金の流れ
「政治家の責任の姿勢の問題もある」
官房長官が責任を持って決裁する官房機密費だが、実は副長官が使うこともできたと明かす。
「たとえば政策を進めるために地方や海外から人を集めて会議を開けば、交通費や会場費などのカネがかかります。積み上げると数百万から1000万円に上ることもある。官房長官に相談して『やれ』と指示が下ると、職員から『副長官、官邸経費で落とせます』と言われたものです。副長官としての会合などにも使うことができました。
ただ、私は1円も使わず、自分の政治資金で支払った。在京の大使や新聞記者たちとの懇談でも同じです。領収証のいらないカネというのは後で何かあると面倒だし、国民の税金を使ってやろうとは思いませんでした。当時の職員は、官房副長官なら当然回していいような請求書も鈴木は回してこないと不思議そうな顔をしていました」(鈴木氏)
今回、「元官房長官」が、国政選挙の陣中見舞いに機密費を使ったと述べたことについてはこう言及した。
「政治家の責任の在り様、姿勢の問題だと思います。“自分が政治家として行なうことは自分のカネで処理するのが当然だ”という認識だから使わなかった。
発言者の認識、受け止めは当時、どんなものであったのか。国民が納得する説明が求められるでしょう」(鈴木氏)
※週刊ポスト2024年6月7・14日号