警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は埼玉県三郷市の路上で車を走らせていたときに、暴力団組長が罵声を浴びせられた体験について。
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「先日、怖い目にあった」とちょっと強面の暴力団の組長が真面目な顔で話し始めた。この道何十年の組長が”怖い”というのだ。上部団体で何かヤバイ話でもあったのか、対立組織と抗争でも起きたのか、それとも…と瞬時に、最近起きた事件を思い返してみたが、当てはまるようなものは何もない。
「三郷をなめちゃいけないね」。組長が怖い目にあったのは埼玉県三郷市だ。愛車のプリウスで三郷市に出かけた日にそれは起きた。暴力団ではアルファードやヴェルファイアなどのワンボックスが人気だそうだが、プライベートでプリウスに乗っているヤクザは多いという。そのプリウスを子分に運転させ、組長は所用で三郷市まで出かけたのだ。
つくばエクスプレスの開通で発展した三郷市は、数年前には埼玉県の住み心地が良い街ランキングにも入っている街だ。コストコやメガドンキ、イケアなど大型スーパーや量販店が揃っており生活に便利な街だが、少し走れば広々とした田舎の風景が広がっている地域でもあるという。
その三郷の、交通量もほとんどない片側2車線の田舎の道を走っていた時のことだ。すぐ目の前の交差点で右折しなければならないことに気が付いた組長は、子分に「そこを右折」と指示した。その指示に従い、子分はウィンカーを出さずに右折レーンへ進入した。ウィンカーを出さないのは法律違反だが、組長の車の前に車はおらず、対向車線にも車はない。かなり後ろに黒い軽自動車が1台走ってくるのが見えたぐらいで、組長も黒い軽自動車もスピードは出ていなかった。
交差点の信号は青。右折するために右折レーンで止まった組長の車の横に、後ろを走っていた軽自動車がスッと停止した。「なぜか真横にピタリとつけて止まった」(組長)。信号は青なのに、軽自動車は進まなければならないはずの走行レーンの真ん中で停止した。