靖国神社落書きの時の動画より

靖国神社落書きの時の動画より

「抖音とは別のショート動画アプリ、『快手(クアイショウ)』での生配信で、過去に買春した経験を生々しく語ったことが当局の逆鱗に触れ、4日間の『行政拘留』という処分を受けました。さらに問題の配信を行った快手だけでなく、抖音を含め複数のSNSに開設していた彼のアカウントは一斉に閉鎖されることとなりました」

 さらに、この一件を機に、彼の過去までも蒸し返されることとなったようだ。中国の裁判文書公開サイトから取り寄せたと見られる、董光明の名前と顔写真が掲載された判決記録がSNS上で拡散。2015年6月に湖南省郴州市中級人民法院から、賭博場開設と違法監禁の罪で3年6ヶ月の懲役刑と4万元(約88万元)の罰金刑を下されていることが記されていたのだ。さらに、賭博場の経営によって70万元(約1500万円)を売り上げていたことや、服役中は模範囚として過ごし、刑期が2年6ヶ月に減刑され、2017年5月23日に釈放されたことなども、SNS上の集合知によって明らかにされていった。SNS上では、世直し系配信者の隠された前科に落胆の声も寄せられた。

 5月2日に4日間の行政拘留を終えて出所した董は、文字通り全てを失った状態だった。そんな彼が動画配信者として復活をかけて挑んだのが件の靖国神社の動画だったわけだ。

「中国のSNSでは、日本を侮辱することで愛国心を示す行為は、注目を集める手段として鉄板と言っていい。彼のこれまでの投稿内容や半生からすると、それほど確固たる政治思想は持っていないと思われますが、ゼロからの再出発として、靖国神社をターゲットにすることにしたのでは」

 仮に今後、彼のそうした目論見が成就したとなれば、模倣犯が大量に来日し、同様の暴挙に出ることも危惧される。今回のケースでいえば、中国外交部の報道官が国外の中国人に「理性的に行動するよう」注意を促す一方、日本に対しても「侵略の歴史を直視するよう」求めるなど、ただの落書き問題では終わらない可能性もある。

 今後、日本の入国管理においては、犯罪歴のある人物のみならず過激配信者を阻む水際対策も必要になってくるかもしれない。

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