とは言え、『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ系)や『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)、『ゴッドタン』(テレビ東京系)などで芸人らに囲まれ、強めにイジっても大丈夫そうなアイドルとして鍛えられたことは、彼女にとってかけがえのない経験となったようだ。
それらは2020年11月、レギュラー出演していた『中居大輔と本田翼と夜な夜なラブ子さん』(TBS系)でテレビディレクターとの婚約を発表し、同月22日の“いい夫婦の日”に婚姻届を提出してからの“キャラ立ちな主婦タレント”というポジションに確実に活かされている。
そこからは、さらに吹っ切れて、バラエティではなくてはならない存在に。野呂と同じくアイドル出身のイジられ主婦・菊地亜美と共に『ぽかぽか』(フジテレビ系)のVTR企画、「飲みながらランチ!ぽかぽか月曜の会」ではゲストを巧みにまわしている。
キレキレのダンスは衰えていない
それだけではない、AKB、SDN時代に培ったダンスのスキルは衰えておらず、5月31日の『ハマダ音楽祭★オオカミ少年』(TBS系)ではアイドルの振り付けをノリノリで披露。アンミカら、共演者を喜ばせた。また、『2021FNS歌謡祭 第2夜』(フジテレビ系)ではOGとして、当時のAKB史上、難易度がもっとも高いと言われたロックダンスで知られる『根も葉もRumor』を完コピして大バズリしたこともある。
現在40歳。ダンスを含め、身体を張ったパフォーマンスのオファーも厭わない野呂佳代。前述の大島や梅田、秋元らに加え、前田敦子や川栄李奈ら、女優として成功したのと同時にバラエティを卒業しているAKBのOGはいるが、テレビ業界では「バラエティでも、いい仕事をして帰る」「主婦キャラとしてもイジリやすい稀有な存在」な野呂に、さらに注目が集まっているところだ。
前述の『FNS歌謡祭~』では、レッスン時の野呂をカメラが追いかけ、既にアラフォーになり、さらにふくよかなボディになっていた彼女の完璧なパフォーマンスを秋元康氏が「たぶん初めて褒めてくれた」(野呂佳代談)とか。当初、氏が思い描いていたような“スリム化作戦”はうまくいかなかったが、ここまで野呂佳代が売れっ子になるとは、氏にとっても、うれしすぎる誤算であろう。
さまざまな企画会議で挙がる「野呂佳代」の名前。快進撃は今年後半も続くことは間違いない。
【プロフィール】
山田美保子(やまだ・みほこ)/『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!+』(メ~テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。