声優業に限らずマルチな活躍を見せる
川平慈英が作り上げた空気
だが、現場に恵まれた。右も左も分からない青山がおそるおそる質問するや、「1質問したら5返ってくる」という熱のある共演者のお陰で、自然に溶け込むことができたという。役も卒業を控えた大学生と、年代が近かったことも奏功した。余裕が生まれると次第に、周囲が見えるようになる。すると、川平の凄さがわかるようになったという。
「慈英さんは周囲の方々の様子を常に観察されていて、気さくに話しかけていました。私は足りないところだらけだったと思うんですけど、慈英さんのおかげで”もっと頑張らなきゃ”と自分を無理に追い込まないで済みました。ご自身の演技も大変だったはずなのに、とにかく現場が明るくいい雰囲気になるように気を配られているのが印象的でした。
たとえば稽古の休憩時間によくマジックを披露してくださって。『なぎさ、見ててよ』なんて言いながら、毎日のように新しいマジックを見せてくださいました。ちょっとクスッとするようなネタでしたが、笑うことで緊張がスーッと解けて演技に集中することができたんです」
こうした空気に周囲も感化された。
「慈英さんの妻役を演じる岡まゆみさんが、作品のなかで岡さんが三浦さん演じるチェロクに愛情を持って接するというシーンがあります。そのシーン作り、役作りのために三浦さんのためにわざわざお弁当を作って。三浦さんもそれを全部食べていて、すごい素敵な関係だなと感動しました」
当の“孫娘”はそのお弁当を見ながら「美味しそうだなぁ」と指をくわえていたという。青山らしさを見せながら、意気込みをこう語る。
「私が演じるヘジンは原作やドラマとは違った名前で、新しい、別のキャラクターとして描かれていますので、 “青山なぎさが作ったへジン”を楽しんでいただけるように演じさせていただきます」
【プロフィール】
青山なぎさ(あおやま・なぎさ)/1998年5月16日生まれ。東京都出身。2020年12月『ラブライブ!スーパースター!!』葉月恋役で声優デビュー。特技はクラシックバレエ。趣味はミュージカル鑑賞・小鳥と戯れること。SNSのフォロワー数はX(旧Twitter):18.3万人、Instagram:12.5万人
■取材/文:赤木雅彦