ニューヨーク・ポストが撮影した配達員・水原(ニューヨーク・ポスト公式Twitterより)
ロバーツ監督が頭を悩ませる「ニューヨークでの試合」
水原は今や米国社会で、大谷選手と並ぶ“有名日本人”だ。父の英政氏が騒動直後、勤めていた日本料理店から姿を消したように、飲食店などの公の職場では身バレする危険性がある。このため比較的、目立たないように働ける配達員を選んだ可能性があるということだ。
「しかも水原氏は、電気自動車のテスラに乗っています。ロスは現在、ガソリンが1ガロン(約3.8リットル)で約5ドル(約780円)と高いので、電気自動車を使って稼ぐのは経費面でも効率的だと思います」(同前)
ニューヨーク・ポストが水原被告の現状を報じたことによって、ロサンゼルス内で「一平探し」の動きが加熱する可能性はあるだろう。ウーバーイーツは、注文者が「置き配」と「手渡し」のいずれかを指定することができる。いくら目立たないといっても、水原被告は注文者との接触を避けられないだろう。
「配達員として登録するためには身分証や顔写真が必要です。サングラスをかけた写真はNGで、注文者のアプリ上には配達員の顔写真を含む情報が表示されることになります。なので水原氏に当たった注文者のなかには、彼の顔を見て罵倒する人も出てくるかもしれません」
一方、MLBは捜査の終了を宣言し、ドジャースも声明を出して早期の幕引きを図ろうとした。これによって本拠地・ロサンゼルスの記者はこの問題についての質問を躊躇する雰囲気があるという。しかし、チームがロスを一歩出れば「アウェーの洗礼」を浴びるかもしれない。
「7日からは、折しもニューヨーク・ポストの拠点であるニューヨークでの試合が続きます。デーブ・ロバーツ監督はもちろん、大谷選手に対してもこの件に関する質問が記者から飛ぶ可能性はあるでしょう」(同前)
保釈中の身とはいえ、大手を振るって街を歩けなくなってしまった水原被告。配達員としての姿がメディアに報じられてもなお、同じ仕事を続けるのだろうか。いずれにしても、水原が身バレせずに働ける職場は限られている。
【プロフィール】
水谷竹秀(みずたに・たけひで)/ノンフィクションライター。1975年、三重県生まれ。上智大学外国語学部卒。新聞記者、カメラマンを経てフリーに。2004~2017年にフィリピンを中心にアジアで活動し、現在は日本を拠点にしている。2011年に『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』で開高健ノンフィクション賞を受賞。近著に『ルポ 国際ロマンス詐欺』(小学館新書)。