6月4日(現地時刻、以下同)に罪状認否を終えた、ドジャース・大谷翔平(29)の元通訳・水原一平被告(39)。法廷で自らの言葉で有罪を認め、ドジャースは「翔平とチームがこの問題を全て忘れ、ワールドシリーズ優勝を目指して前進できることを嬉しく思う」とこの騒動に終止符が打たれたことをアピールした。しかしそのわずか2日後となる6日、米紙ニューヨーク・ポスト電子版が水原被告の衝撃の“転身”をスクープした。現地・ロサンゼルスで一平騒動はまだまだ収束する兆しを見せていない——ノンフィクションライターの水谷竹秀氏がレポートする。(文中敬称略)
* * *
ニューヨーク・ポストが掲載した写真によると、水原は料理が入ったとみられる赤い手提げ袋を手に、住宅のゲートに向かって階段を上る姿が写っている。もう一方の手はスマホを持ち、身バレしないようにするためか黒いキャップもかぶっている。水原がウーバーイーツの配達員として働き始めた近況について、在米のジャーナリストが語る。
「生活費を稼ぐためにちゃんと働いているんだなという印象を受けました。州によっても異なりますが、ロサンゼルスでのウーバーイーツ配達員の給料は、時給換算すると約20ドル(約3130円)です。1日働けば200ドルぐらいは稼げると思います。日本の感覚でみると高給に感じるかもしれませんが、ロスは物価が高いので、それだけで生活できるかどうかは微妙だと思います」
現地時間の4日に罪状認否を終えた水原は、10月25日に量刑を言い渡される予定だ。その後は禁固刑に処されるため、それまで休みなしで働いたと仮定した場合、稼ぎは約5ヶ月間で約3万ドル(約470万円)になる。これまでの司法取引では、大谷の口座から不正送金した1697万5010万ドル(約26億2700万円)を賠償金として全額支払うことで合意しているが、配達員の稼ぎでは雀の涙にもならない。それでも働き始めたのはやはり、少しでも生活費の足しにしたいためだろう。
配車サービス大手の「ウーバー」がアメリカで設立されたのは2009年。その5年後に「ウーバーイーツ」がサービスを開始し、現在では複数の同業他社が事業を展開しているが、この手の職業は水原のような著名人、俳優やミュージシャンを含むアーティストにとって密かな“副業”になっているというのだ。前出のジャーナリストが解説する。
「ハリウッドの映画やテレビドラマに出ていた日本人男性の俳優で、それだけでは食べていけないためにウーバーの運転手をやっている人もいます。アメリカ人の俳優ならもっと多いでしょう。ウーバーの運転手や配達員は、有名になってしまったために公の場で働けないフリーランスの人たちにとっての“抜け道”でもあるのです」