納得のいく治療を自ら選ぶことが大切
薬を変えたことでうつ病は1年ほどで落ち着いたが、その後も膠原病の影響で糖尿病や白内障を発症。治療は10年以上続いた。
「その間に膠原病の治療法や新薬の開発が進み、体調は徐々によくなっていきました」
ところが、膠原病が改善されても、一度落ちた免疫力は戻らず、65才で心臓弁膜症に、その3年後には腎臓がんと告知される。
「最初に診断を受けた病院でも、セカンドオピニオンで訪ねた病院でも、片方の腎臓の切除手術をすすめられました。腎臓は2つあるから1つとっても大丈夫、と言われましたが、2つあるのは2つ必要だからだと思うんですよね。
なんとか両方ともとらずにすむ方法はないものか……。あきらめきれずに調べていたところ、国立がん研究センター中央病院を紹介され、切除せずにすむ治療法(がんの細胞を氷塊で凝固壊死させる凍結療法)を紹介されました」
手術は成功し、その後は大きな病気をしていないという。
「行き慣れていない人にとって、病院は行くこと自体ハードルが高い場所だと思うんです。でも、自分の体は自分しか守れません。
体の声をよく聞いて、病院に行くことは本当に大切。何もなければそれでいいし、医師に大丈夫と言われてもおかしいと思ったら、セカンドオピニオンを聞くなど、勇気を振り絞って自分で治療法を選んでいかないといけない、と思うようになりましたね」
【プロフィール】
安奈淳(あんな・じゅん)/1947年大阪府生まれ。15才で宝塚音楽学校に入学し、1965年に宝塚歌劇団へ入団(51期生)。星組、花組の両方で男役トップスターに就任。『ベルサイユのばら』(1975年)、『ノバ・ボサ・ノバ』(1976年)などで主演を務め、1978年、『風と共に去りぬ』での主演を最後に宝塚を退団。その後、東宝演劇部に所属し、テレビや舞台などに活動の場を広げる。舞台『南太平洋』(1979年)や『王様と私』(1980年)に主演。故・森繁久彌さんの代表作『屋根の上のヴァイオリン弾き』(1980年)にも出演。現在は、歌手としてコンサートやショーなどで活躍。主な著書に『安奈淳スタイル』(ライスプレス)など。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2024年6月20日号