2012年にJLPGAの公認競技委員となった門川恭子氏(筆者撮影)

2012年にJLPGA競技委員となった門川恭子氏。1996年のプロテストに合格し、ステップアップツアーでの優勝経験もある元ツアープロでもある(筆者撮影)

競技委員は朝5時に集合してコースを確認

 試合の日は第1組がスタートする2時間前の朝5時までにコースに到着。6人のうち2人が朝食を済ませている間に、4人はアウトとインに分かれてグリーンコンディションを確認する。勝敗の鍵を握るパッティンググリーンに不整箇所がないかどうかの確認は、何より優先されるのだ。

「夜のうちに野生動物が走ったり、掘り返したり、あるいは鳥がついばんだりしてグリーンが荒れていないかを調べます。トラブルがあれば予定していたロケーションにカップを切れないため、朝イチで確認しなくてはなりません。

 問題なければ“今日のピン位置でOK”と報告し、選手やキャディに配る“本日のピンポジション”を印刷する。それが終わると4人が朝食をとり、スタート1時間半前に全員がカートに乗ってコースをチェックします。プレー中の選手がトラブルに遭遇しないように、競技委員の手ですべて確認しておかないといけません」

 1番と10番のティーイングエリアでスタート前の選手に提出用スコアカードを配布するのも競技委員の仕事だ。アウトは協会理事が、インは競技委員長が担当するケースが多い。また、試合中は競技委員長がクラブハウス周辺に待機し、コース内で待機する競技委員に無線機で指示する。

グリーンではピン位置の最終確認も

「残り5人の競技委員のうち2人は、スタート前にアウトとインに分かれてもう一度グリーンの確認に回ります。今日のピンが正しい位置に切られているか、グリーン周りに不整箇所がないかなどを確認するとともに、翌日のピン位置の状況を把握しておきます。暗くなってしまうと確認できなくなるので、前日のうちにチェックする必要があるのです」

 基本的に4日間のピン位置はセッティング担当者が決める。だが、天候や気温の変化でグリーンが硬くなる(速くなる)と、想定した場所に切れないケースもある。だからこそ、競技委員が最終確認するのだという。

「例えばヤマハレディスを開催する葛城GC(静岡県)のように傾斜がきつく、グリーンを速く仕上げてくるコースでは、ピンポジションを決めにくい。カップ位置によっては球が止まらない状況になってしまうので念入りな確認が必要です」

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