スポーツ

【プロ野球審判はつらいよ】ロッテ佐々木朗希「完全試合」の球審が明かす“舞台裏”「5回終了時に“今日は、このまま行くんちゃうか”と話していた」

2022年4月10日、史上19人目の完全試合達成を記録したロッテ・佐々木朗希(時事通信フォト)

2022年4月10日、史上19人目の完全試合達成を記録したロッテ・佐々木朗希(時事通信フォト)

 スコアボードに並ぶ「0」──。プロ野球・広島の大瀬良大地投手が6月7日のロッテ戦で史上90人目の「ノーヒットノーラン」を達成した。5月24日には巨人の戸郷翔征投手も阪神戦で達成したばかりだ。失点や被安打を0に抑えるのみならず、先発投手が打者を1人も出塁させずに投げ切ると「完全試合」の偉業達成となる。直近ではロッテ・佐々木朗希投手が2022年に20歳の若さで達成したが、その試合で球審を務めたのが、同年9月を最後にプロ野球審判を引退した橘高淳氏だ(3001試合出場)。過去16人しかいない大記録に“最も近くで立ち会った”橘高氏は、その日の佐々木投手の投球をどのように見ていたのか。新著『審判はつらいよ』の著者・鵜飼克郎氏が聞いた。(全5回の第5回。文中敬称略)

 * * *
 審判は歴史的な記録の“見届け人”でもある。

 2022年4月10日、ロッテ・佐々木朗希がオリックス戦で史上16人目の完全試合を達成。13者連続奪三振のプロ野球新記録と1試合19奪三振の最多タイ記録も同時にマークする記録ずくめの試合で、橘高は球審を務めた。

「あの日の佐々木投手は抜群でした。とにかくストレートが速く、手元でもの凄く伸びてくる。キャッチャーの真後ろで見ていると、“キレがなくなってきた”とか“ボールがおじぎしてきた”というのが分かりますが、この時は5回のグラウンド整備中の審判控室で『今日は、このまま行くんちゃうか』と話していました」

 もちろんキレがなくなったり、スタミナが切れたりしたからといって、打たれるとは限らない。逆にどれほど調子が良くても出会い頭に一発を浴びることもある。そんな試合もたくさん間近で見てきた橘高だが、「この日の佐々木投手は持っている力を、常時マックスで発揮していたように見えた」と振り返る。

「ロッテの本拠地・ZOZOマリンスタジアムは強風が吹くことで知られていますが、ほぼ無風で天候も穏やか。最高のコンディションでした。僕はダルビッシュ有投手や大谷翔平投手の投球もジャッジしましたが、佐々木投手のほうが“いい球の割合”が高い印象です。完全試合の時は5球のうち4球はいい球を投げていた。ダルビッシュ投手も大谷投手も凄かったですが、それでも5球のうち2、3球でした。それに加えてあの時の佐々木投手はテンポもコントロールも抜群だったと思います」

 キャッチャーの真後ろという“特等席”から見ているうえに、数年間をプロの捕手として過ごした橘高ならではの感想だ。「ピッチャーの配球を楽しむ余裕なんてありません」と言うものの、それほどあの日の佐々木は特別だったということだろう。

1試合19奪三振の最多タイ記録も同時にマーク(時事通信フォト)

13 者連続奪三振の新記録、1試合19奪三振の最多タイ記録も同時にマーク(時事通信フォト)

関連記事

トピックス

ヤマハ発動機の日高元社長(共同、時事)
《娘に切り付けられ退任》ヤマハ発動機社長、事件前に目撃されていた“父娘の散歩” 名古屋出身も「俺はトヨタよりこっちのほうが…」見せていたバイク愛
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告と父・修被告
「俗に言う“お持ち帰り”をされた」「最後の行為でゴムを取られて…」父・田村修被告が証言した“瑠奈被告と被害男性のプレイ詳細”
NEWSポストセブン
優勝決定後、デコピンを抱きかかえる大谷翔平と真美子夫人(写真/AFLO)
【担当者が“管理できない!”と悲鳴】大谷翔平にファンレターやプレゼントが殺到、球団が異例の「贈り物禁止令」を通達 
女性セブン
容疑者
「お前が妹を殺してさあ!」瑠奈被告が絶叫した“永遠の7分間” 父・修被告は「妹とは瑠奈の魂です」と証言【ススキノ第4回公判】
NEWSポストセブン
映画『カリブ・愛のシンフォニー』の製作発表に出席したふたり('84年11月)
《旅サラダを卒業》「常にトレンディー」「共演者を気遣う」「ダジャレも歓迎される」“愛されるMC”だった神田正輝の魅力
女性セブン
逮捕された伊佐山容疑者(左)と摘発されたハプニングバー「Nocturne」
《錦糸町のハプニングバー摘発》「20代男女が昼から乱倫パーティ」女性向け人気セラピストだった経営者による「集客方法」で会員数は2000人規模に
NEWSポストセブン
堀ちえみが撮影時の思い出を語った
【40年目の秘話】堀ちえみが振り返る『スチュワーデス物語』 「不器用な主人公の一生懸命さは、撮影についていこうとする私の姿そのものでした」
週刊ポスト
眞鍋政義氏の不倫相手・A子さんと遠征先で会食していた川合会長
バレーボール協会・川合俊一会長、眞鍋政義氏と不倫女性を交えて“貸切り会食”していた 店舗に飾られていた「疑惑のサイン」本人を直撃
NEWSポストセブン
日赤へのご就職から半年が経った愛子さま(9月、東京・千代田区。撮影/JMPA)
《愛子さまが“黒柳徹子ゆかりの美術館”を訪問》40年以上前から続く黒柳徹子と皇室の縁、美智子さまとの深い交流 
女性セブン
終始狼狽した様子で直撃に答えた眞鍋氏
《眞鍋政義氏の不倫・情報漏洩問題》「回答しかねます」バレーボール協会が沈黙を貫く背景、川合俊一会長との“二人三脚の蜜月”
NEWSポストセブン
福原愛“特別賞受賞”の中国に関するエッセイで見えた卓球への強い思い 元夫の江宏傑には再婚を匂わせる女優が現れる
福原愛“特別賞受賞”の中国に関するエッセイで見えた卓球への強い思い 元夫の江宏傑には再婚を匂わせる女優が現れる
女性セブン
逮捕された人気YouTuberの“DJまる”こと松尾竜之介容疑者、戦慄かなの(DJまるのTikTokより)
《息くせーんだよ!》戦慄かなのが4か月前にアップした「赤黒いアザ写真」…交際相手・DJまるの「いつか捕まる」危険な酒癖
NEWSポストセブン