カメラの前に立つ時はいつも完璧でした

『若い人』(1962年 監督/西河克己) 石原裕次郎、浅丘ルリ子と

『若い人』(1962年 監督/西河克己) 石原裕次郎、浅丘ルリ子と

 吉永と浜田のコンビで大ヒットした『愛と死をみつめて』(1964年)など多くの作品でカメラマンをつとめた撮影監督の萩原憲治氏が、吉永との思い出を語る。

「日活の撮影所が完成した1954年に私は入社し、6年後に15歳の小百合ちゃんが入社してきました。当初から私も現場スタッフも『小百合ちゃん』と呼んでいました。人懐っこく、どのスタッフにも謙虚で皆に慕われて、本当に性格がよかった。親しみのある女優さんでした。

 私は今95歳。親子のような年齢差ですが、当時の撮影助手だった鈴木耕一さんによると、私より早く現場入りした時はいつも茶目っ気たっぷりに“Hさんはまだ?”と聞いていたそうです(笑)。『若い人』『青い山脈』など数多くの吉永作品を撮影しましたが、小百合ちゃんはとにかく頭がよかった。セリフをとちることはありませんでしたね。NGも出さなかった。カメラの前に立つ時はいつも完璧でした」

いつも、とてもしっかりしていた小百合さん

『青春のお通り』(1965年 監督/森永健次郎) 左から松原智恵子、浜川智子、吉永、浜田光夫

『青春のお通り』(1965年 監督/森永健次郎) 左から松原智恵子、浜川智子、吉永、浜田光夫

 吉永小百合、和泉雅子と合わせて「日活三人娘」と呼ばれ、多くの青春映画に出演した松原智恵子が、当時の吉永について語る。

「同い年ですが、小百合さんが先に日活に入られていて、私は1960年の『日活ミス16歳コンテスト』に入賞したのをきっかけに日活に入社しました。当時は小百合さんも私も毎日のように撮影で忙しかったのを憶えています。

 小百合さんと初めて共演したのは同級生役の『いつでも夢を』。親友を演じた『青春のお通り』では小百合さんがちゃっかり、私はおっとり、という役柄でした。実際の小百合さんはいつも、とてもしっかりされている方でした。小百合さんとは今も携帯メールや年賀状で交流が続いています。私が映画に出ると必ず『観ました』とメールを送ってくださいます。コロナ禍が明けたので、近々またお会いしたいです。再び映画作品で共演もしたいですね」

【プロフィール】
浜田光夫(はまだ・みつお)/1943年生まれ。1960年、日活映画『ガラスの中の少女』で吉永とコンビを組んで以降、多数の作品で共演。

萩原憲治(はぎわら・けんじ)/1929年生まれ。大映を経て日活に入社。撮影監督として手がけた吉永作品は『愛と死をみつめて』など多数。

松原智恵子(まつばら・ちえこ)/1945年生まれ。1961年、映画『夜の挑戦者』でデビュー。吉永、和泉雅子と共に「日活3人娘」と呼ばれた。

吉永小百合(よしなが・さゆり)/1945年生まれ、東京都出身。1957年、小学5年の時にラジオドラマ『赤銅鈴之助』でデビューし、1959年、松竹『朝を呼ぶ口笛』で映画に初出演。1960年に高校進学と同時に日活と専属契約を結び、『ガラスの中の少女』で初主演、『キューポラのある街』でブルーリボン主演女優賞受賞。2023年の『こんにちは、母さん』で出演作は123本を数える。『吉永小百合 青春時代写真集』が文藝春秋より発売中。吉永小百合&浜田光夫『純愛ブルーレイボックス』発売中(発売:日活 販売:ハピネット・メディアマーケティング)。特集上映「1960年代─吉永小百合と私たちの青春」(東京・神保町シアターにて6月28日まで上映中)。

取材・文/上田千春 写真/日活

※週刊ポスト2024年6月21日号

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