“要塞”のような幼稚園の勤務実態
“6連勤2連チャン”はたしかにきつい。冒頭の住民が話すように、中の様子が周囲からは分かりにくい同園について取材した。かつて園に子供を通わせていたという、近隣に住む40代女性が語る。
「私の子が通っていたのが10年前くらいですね。その頃から園長先生と、副園長先生の2人がずーっと変わっていません。あのね、園長先生は口調が強いんですよ。子どもたちには普通ですが、職員の先生に厳しいらしくて。そう言っていた先生が当時いました。『私ばっかりすごいきつく言われるんだけど』とも言っていて。
先生たちには厳しかったようだけど、子どもたちの発表会とか誕生会の時とかは普通に接しているから、保護者からしたらそんな悪い印象ではないんですよね。園は女性職員ばっかりで、女性社会特有の悩みもあったと思います」
この女性は別の職員の“異様な姿”も目にしており、長年気になっていたという。
「当時、うちの子が年中の時に新卒の先生が担任になったんですよ。珍しく男の先生。すごく優しくていい先生だったんですよ。4月に入られて、それでやっぱり6月のこれくらいの時期に何かおかしいなと思って。父の日に日曜参観というのがあるんですけど、イベント当日の先生の寝癖がぐしゃぐしゃで……。でも、それからすぐに来れなくなって辞めたんです。多くの保護者が集まるので、先生たちにとってはいちばんくらいに重要なイベントなのに、髪も整えられないというのは、相当参っていたんだと思います。
そのあとうちのクラスだけ説明会があって、園長先生も参加して保護者に説明があったんです。園長先生は『体調壊して来られなくなり、実家に帰っています』と言っていて、その時に『新任の先生に担任持たせるのってしんどくないですか。お便り帳を30人ぶんほど書いて、保護者の話も聞かないといけないし。人手が足りないのもわかるんですけど、そういう仕組みを作ったらどうですかね』ということを伝えたんですけど……結局、人手が足りなかったんですよ」(同40代女性)
10年前の話なので現在は改善されている可能性もある。しかし、変わっていなければ笹山容疑者が上司からの圧力や、人手不足による業務過多から、園児の首を切りつけるという突拍子もない行動に出たのではないのだろうか──。