スポーツ

【ゴルフ競技委員はつらいよ】ゴルフ界のレジェンドも戸惑う頻繁な「ゴルフ」のルール改訂「怒ってバンカーの砂を叩くと…」「自打球は…」

ボールの扱いについて競技委員と相談する石川遼。競技委員はあらゆるルールを熟知する必要がある(2019年、産経新聞社)

ボールの扱いについて競技委員と相談する石川遼。競技委員はあらゆるルールを熟知する必要がある(2019年、産経新聞社)

 ゴルフの競技規則は4年に一度のペースで改訂される。それによってペナルティの条件や救済措置が変更されるため、それまで「罰打」が付いたプレーが「無罰」に変わることもある。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)競技委員の門川恭子氏は「2019年の大がかりな改訂時には心が折れそうになった」と明かす。スポーツを長年取材する鵜飼克郎氏が聞いた。(全4回シリーズの第4回。文中敬称略)

 * * *
 ゴルフ規則は改訂が頻繁に行なわれる。世界のゴルフルールを統括するR&A(英国ゴルフ協会)とUSGA(全米ゴルフ協会)が改訂を決めると、JGA(日本ゴルフ協会)がそれを翻訳してホームページなどで発信する。こうしてゴルファーたちは世界共通のルールでプレーすることが可能になる。

 4年に一度のペースで改訂がなされるが(年に4回ほどのマイナーチェンジもある)、それは競技委員たちにとって「最も厄介な時期」なのだという。2012年からJLPGAの競技委員を務め、R&A主催のレフェリースクールの最高ランク「レベル3」合格者の門川恭子はこう話す。

「2019年の改訂は特に大がかりな内容で、心が折れそうでした。ドロップの方法がショルダーハイ(肩の高さ)からニーハイ(膝の高さ)になったことはアマチュアの方もご存じだと思いますが、このような大きな変更が数多く行なわれました」

 ウォーターハザードが「ペナルティエリア」に、スルーザグリーンが「ジェネラルエリア」に名称変更され、バンカーの救済措置が追加されたのもこの2019年改訂だ。ルールを簡略化して初心者でも簡単に楽しめるようにすることが目的だったが、ゴルフのルールはプロも初心者も同じ。結果、プロの試合では戸惑いを招いたケースもあったという。

 2023年のファイナルQTでは、バンカーからボールが出なかったことに苛立ったプレーヤーが、思わず無意識のうちにクラブで砂を叩く場面があった。

 この選手は最終ホールを終えた後、キャディから「〇番ホールのバンカーで砂を叩いていたぞ。ペナルティになるだろうからスコアの提出前に確認したほうがいい」とアドバイスされ、スコアカードを提出する前に競技委員に訊ねた。本人は砂を叩いたシチュエーションを明確に覚えていなかったため、「クラブが砂に触れました」とだけの説明だった。

「改めて同伴競技者にも状況を訊くと、“彼女が怒ってバンと叩いたのよ”と言うのです。規則書には“クラブが砂に触れると2罰打”とありますが、2019年の改訂版には事例として“イライラして、または怒って砂を叩くことで砂に触れても罰を受けない”と付記されているので無罰という裁定になりました」

 改訂前は「(理由の如何にかかわらず)クラブが砂に触れれば罰がつく」だったが、ルール変更によって無罰となったのだ。

関連記事

トピックス

石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《24歳の誕生日写真公開》愛子さま、ラオス訪問の準備進めるお姿 ハイネックにVネックを合わせて顔まわりをすっきりした印象に
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
韓国・漢拏山国立公園を訪れいてた中黒人観光客のマナーに批判が殺到した(漢拏山国立公園のHPより)
《スタバで焼酎&チキンも物議》中国人観光客が韓国の世界遺産で排泄行為…“衝撃の写真”が拡散 専門家は衛生文化の影響を指摘「IKEAのゴミ箱でする姿も見ました」
NEWSポストセブン
 チャリティー上映会に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが出席された(2025年11月27日、撮影/JMPA)
《板垣李光人と同級生トークも》愛子さま、アニメ映画『ペリリュー』上映会に グレーのセットアップでメンズライクコーデで魅せた
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
ガーリーなファッションに注目が集まっている秋篠宮妃の紀子さま(時事通信フォト)
《ただの女性アナファッションではない》紀子さま「アラ還でもハート柄」の“技あり”ガーリースーツの着こなし、若き日は“ナマズの婚約指輪”のオーダーしたオシャレ上級者
NEWSポストセブン
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン