家族に看取られなくても「悲しくて惨め」とは限らない
これから先、超高齢化や価値観などの変化によって死に方が多様化するとともに、生き方もますます多様化すると考えられる。孤独死をテーマにした『死に方がわからない』の著者で、文筆家の門賀美央子さんが言う。
「これまで日本人は、結婚して子供を産んで家族で過ごすというスタンダードなライフステージを一つひとつクリアしないと幸せになれないと思い込み、家族に看取られず孤独死することは、悪くて惨めなことと捉えていました。でもそうした価値観は変わりつつあります」(門賀さん)
だからこそ、孤独死するかどうかではなく、どのように生きて、どのように孤独死を迎えるかが大切になるのではないか。門賀さんが理想とするのは、2021年に107才で亡くなった美術家の篠田桃紅さんだ。
「生涯独身を貫いた世界的アーティストでした。お亡くなりになった日、いつも作業をしていた机の上には制作途中の作品が置いてあったそうです。生涯現役のまま芸術家としての生を最期まで生き切った姿が素敵で憧れます。自分で決めて、残された人の作業を最小限に留める。生き様の帰結が死に様になったような、極上の孤独死でした」(門賀さん)
自分が孤独のまま死に、誰にも見つからない姿を想像すると確かに心が痛む。それでも、孤独死は極上にも悲惨にもなり得る。どちらになるかを決めるのは、最期に向かうあなたの生き様と準備なのだ。
(了。第1回から読む)
※女性セブン2024年6月27日号