国内

【家族に看取られなくても惨めとは限らない】「孤独死」は極上にも悲惨にもなり得る どちらになるかを決めるのは「生き様」と「準備」

自らの死後をきちんと決定し、周囲に知らせておく。その準備が理想の孤独死に近づく一歩になる。(写真/PIXTA)

自らの死後をきちんと決定し、周囲に知らせておく。その準備が理想の孤独死に近づく一歩になる(写真/PIXTA)

 孤独死に確定した定義や全国統計はないが、東京都監察医務院が公表するデータによれば、23区内におけるひとり暮らしの65才以上の自宅での死亡者数は2003年の1441人から2020年は4207人と約3倍に増えたとされる。独居の高齢者が増える中、誰にも迷惑をかけずにひとり旅立つことは難しい。そんななか、迷惑を最小限に抑えつつ、自宅で最期を迎えるにはどうしたらいいのか。【全4回の第4回。第1回から読む】

 各種見守りサービスや孤独死保険、リフォームなど、個人の努力で孤独死に備えることは可能だ。また、自治体など公的な機関が果たす役割も大きい。だがそのうえで、幸せな孤独死を迎えるために最も大切なのは、生きているうちに「孤独」を避けることではないだろうか。特殊清掃業を営む武蔵シンクタンク株式会社代表の塩田卓也さんが言う。

「喫煙や飲酒、暴飲暴食など寿命を縮める要因はいくつかありますが、やはり最も寿命に響くのは孤独だといわれます。実際に現場を見ていると、孤独死するのは身勝手でわがままで、周りと協調していない人が多い。だから悲惨な孤独死を迎えないためには、孤独にならない状況を作り出すことが求められます。人とのつながりやコミュニティーを作ることが何よりも大切なんです」(塩田さん)

 その人がどんな人生を歩んできたのか。孤独死した段階で、そこまでの人生が読み取れるという。あるとき、塩田さんが孤独死した高齢男性の住居を掃除していると、近所の子供が駆け寄ってきて、部屋の前に置かれた自転車を指さしてこう言った。

「これ、おじいちゃんが乗っていたチャリンコだから、一緒に片づけてあげてね」

 塩田さんが話す。

「その言葉を聞いて、おじいさんは近所の子供をかわいがり、いい関係を築いていたのだなと思いました。実際に孤独死の現場では、近所の人に『においがすごくてすみません』と謝ると、『あのかたのなら構いませんよ』と丁寧に言われる場合と、ひどく苦情を言われる場合があります。そんなとき、故人がご近所とうまくつきあっていたのか、それとも孤立していたのかがわかります。死後に生き様が見えてくるんです」

関連記事

トピックス

フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
新年度も順調に仕事を増やし続けている森香澄
《各方面から引っ張りだこ》森香澄、“あざとかわいい”だけじゃない「実はすごいアナウンス力」、「SNSの使い方はピカイチ」
NEWSポストセブン
4月7日、天皇皇后両陛下は硫黄島へと出発された(撮影/JMPA)
雅子さま、大阪・沖縄・広島・長崎・モンゴルへのご公務で多忙な日々が続く 重大な懸念事項は、硫黄島訪問の強行日程の影響
女性セブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン