自民党内ではそう受け止められている。改めて火付け役の佐藤氏に聞いた。
「市連大会での挨拶原稿は前日に作りました。菅さんに言われて発言したわけではありません」と前置きして進次郎待望論をこう語った。
「総裁選にはいろいろな方が出てくると思いますが、手垢がついている人では本人だけが努力しても党の信頼は回復しない。劇的な人が出ないとダメ。私は市連大会に同席されていた小泉進次郎さんくらいまで世代交代したほうがいいと思います」
自民党のホープとされる進次郎氏が「将来の総理・総裁候補」という見方は党内で一致しているが、父の純一郎・元首相は、「50歳までは総裁選に出させない」と語っており、現在43歳の進次郎氏は次の総裁選への出馬はないとみられていた。
ところが、ここにきて本人の気持ちにも変化が起きているようだ。進次郎氏に近い議員が言う。
「これまでは総裁選絡みの話をするときっぱり出馬を否定していたが、最近は出馬するとまでは言わないものの、『自民党が下野するわけにはいかない』と危機感を露わにする。純一郎さんに言われた“50歳縛り”にしても、進次郎氏は『親父もあれよあれよと(総理に)なった』という言い方をしている。つまり、そのつもりはなくても、なる時にはなるものだと覚悟していると感じる」
菅氏に近い反主流派の幹部もこう語る。
「菅さんは2人の総裁候補を“平時の加藤、乱世の進次郎”と考えている。菅内閣の官房長官を務めた加藤は実務能力は高く、総裁選にも出馬意欲を見せているが、国民への訴求力が弱い。今は乱世、進次郎が出馬する覚悟を決めれば、一気に擁立に動くだろう」