「進次郎さんまで世代交代したほうがいい」
──現在の岸田内閣の支持率低下は、かつての森喜朗内閣の時と非常に似ている。
「私もそう思いました。あの時は全くもって自民党は国民から相手にされなくなった。今もそれと同じような状況に追い込まれている。岸田さんも、例えば安全保障などの重要法案や、NISAの枠を広げたことなど、国民に対していいことをたくさんやってきた素晴らしい政治家だと思いますけれど、ただこの裏金問題で、何をやってもこの半年は支持率が回復していませんから、ここがいわゆる辞め時です」
──森首相の次は、総裁選で「自民党をぶっ壊す」と掲げた小泉純一郎・首相が誕生し、自民党を救った形になった。自民党の政治を変え、支持を取り戻すには誰が総理総裁にふさわしいと考えているか。
「今年9月までには自民党総裁選が行なわれる。いろいろな方が出てくると思いますが、現在、名前が挙がっているような手垢がついている人では、その方だけが努力しても信頼は回復しない。劇的な人が出ないとダメだと思います。それでも自民党は層が厚いから、ここ一番はこいつを担ごうとか、そういうムードが出てくると思います」
──具体的には誰か。
「横浜市連大会に同席されていたのが小泉進次郎さんでした。自民党神奈川県連会長で、我々は身近な方です。選挙に強いし、しがらみとかは全くない。お金の問題もないですよね。あのくらいまで世代交代したほうが私はいいと思います」
菅義偉・前首相の仕掛けなのか
佐藤氏の岸田首相退陣要求の2日後(6月6日)、自民党神奈川県連の大実力者として知られる菅義偉・前首相が萩生田光一・前政調会長、加藤勝信・元官房長官、武田良太・元総務相の「HKTトリオ」と会合を開き、そこに進次郎氏も参加した。参加者は全員、菅政権で閣僚を務めている。
そうしたタイミングから、自民党内では「佐藤氏の退陣勧告は菅氏の仕掛け」という見方が広がった。菅氏は横浜選出(神奈川2区)で、自民党横浜市議団はいわば“直轄地”とも言える。佐藤氏にそうした見方をぶつけた。
──挨拶の内容を事前に誰かに知らせていたか。
「国会議員は誰も知らない。大会前日に原稿を書き上げた時、LINEでつながっている市連の執行部の人間に、こういう話をするよ、と。『ハレーションが起きるかもしれないけれど、了解してくれる?』と聞くと、皆さん『いいじゃないですか。こういうセンセーショナルなものを会長が思われているなら是非やってください』と賛同してくれました。当日、リハーサル代わりに執行部が集まってる前で、こういう挨拶をしますと申し上げると、皆さん、ニヤニヤしてました」
──菅氏が仕掛けたという説が流れている。
「横浜市議には、私が会長をやっているグループとは別に、菅さんの秘書出身の市議のグループがある。私はそのグループではない。もちろん菅さんとは市議として4年重なっているから、話はできますけど、菅さんから言われて私が発言するほど、落ちぶれてません。あくまで自分の考えです。菅さんが進次郎さんも含めて萩生田さん、加藤さんらと会ったという報道を見た時、何か仕掛けてるんだろうな、とは思いました」
──あなたも進次郎氏なら総裁選に推す?
「ぜひ応援したいと思います。しかし、菅さんとそれについての話はしていません」
佐藤氏の発言が、いずれ岸田政権の崩壊へとつながる“蟻の一穴”になるかもしれない。