異所性脂肪がたまると起こる病気
他にも、すい臓のベータ細胞に脂肪がたまると、インスリンの分泌が低下し、この状態が長く続くと、糖尿病の要因になる。加えて骨格筋に脂肪がたまると、食後に血中に入った糖質を筋肉が吸収する働きが低下してしまい、それがインスリンの働きを弱めるので、結局は糖尿病の発症に繋がるというわけだ。
「異所性脂肪を放置したら、臓器の炎症・線維化が進行し、なかなか元には戻せません。しかし、臓器の障害が軽い時期であれば、対策が可能です。異所性脂肪の治療としては、徐々に行なう減量。脂質と糖質の過食をやめ、適度な運動を続けることで、脂肪を燃焼させることができます」(小川主幹教授)
食事以外にも、十分な睡眠を取り、過剰なストレスを避けることが大切なのはいうまでもない。ただ、やはり食は生活の中心だ。そこに制限を設けるのは辛い。それでも医師と相談しながら、食事の素材や摂り方を工夫することにより、病気を遠ざけられる。
また、継続も大切であり、健康は毎日の小さな積み重ねで保たれていることを今一度、胸に刻んでおきたい。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2024年6月28日・7月5日号
小川佳宏/九州大学病院内分泌代謝・糖尿病内科主幹教授