「私はその点は怒っていますよ」
冒頭、元妻は「相続に関する連絡も一切ない」と明かしていた。
「相続の話があればあちらの奥様が生きているうちに言ってくるでしょうが、こちらから何か言うつもりもありません。そもそも息子を大切に思っていたのならば、(中尾さんは)自分が生きているうちに、息子との関係にけじめをつけないといけなかったんじゃないでしょうか。私はその点は怒っていますよ」(元妻)
実際、離婚が増加した昨今、中尾さんのように疎遠になった子供との間で相続問題が発生するケースも増えているという。相続に詳しい司法書士の椎葉基史さんが解説する。
「仮に被相続人が “全財産を配偶者に相続させる”という旨の遺言状を残していたとしても、子供には『遺留分』として法定相続分の2分の1を受け取る権利が残ります。疎遠になっているとはいえ、基本的に法定相続人の存在を無視して相続の手続きを進めることはできません。住所がわからない場合でも、専門家に依頼するなどして連絡を取る必要があります」
中尾さんのケースでは法定相続人が2人のため、遺言状があった場合でも、息子は遺産の4分の1を受け取る権利がある。関係が断裂し、記憶から“消した長男”の存在が落とし穴になり、場合によっては相続の手続きが完了していない──そんな可能性もある。
「2005年に中尾さんが終の棲家として購入した都内の高層マンションの一室は、2009年に贈与の形で志乃さんに所有権を移転しています。中尾さんの所有不動産ではありませんから、相続財産にはならない。もしかしたら、中尾さんは相続の手続きが進まないことを見越していたのかもしれません」(前出・中尾さんの知人)
中尾さんと池波の所属事務所に、相続の手続きについて尋ねたが、期日までに回答はなかった。6月中旬、中尾さんがこだわって建てた生前墓の掃除が行われていた。7月3日に迎える、四十九日法要の準備だという。「相続の手続き」だけを置き去りにして、終活で決めた通りに滞りなく事が運んでいる。
※女性セブン2024年7月4日号