唐沢寿明と真矢ミキがエスコート(撮影/浅野剛)
変わらず、ウイットに富み、元気と勢いのある文章に心から驚かされる。そんな佐藤氏の現在の様子も“奇跡”と言うべきものだが、
昨年の10月から12月に行われた撮影についても「奇跡だった」と前田監督と、連載と単行本の編集者、小学館の橘高真也は口を揃える。佐藤氏からの手紙にもあったように、もしも草笛の肺炎が長引けば、撮影スケジュールが大幅にずれてしまい、キャストとの共演シーンや、撮影セットにも影響が出てしまう可能性があった。草笛は誕生日が10月ゆえ、九十歳での映画公開も実現できなかったからだ。
共演者も驚いた“リアル九十歳”草笛光子
“リアル九十歳”ながら、吹替なしですべてのシーンをこなした草笛に対しては、共演者で61歳の唐沢や60歳の真矢が心から驚き、29歳の藤間は「チャーミングでカッコイイ」と評している。
主題歌を担当した木村カエラも草笛や佐藤氏の潔さに共感し、そんな世界観を詞に綴ったという。
前日祭への登壇はなかったが、オダギリジョーや清水ミチコ、三谷幸喜氏らも一様に撮影の楽しさと草笛へのリスペクトを熱く語っているところ。ここまでキャスト全員が主演俳優に心酔している作品というのも、そうはないだろう。
そうした“熱”の数々が配給の松竹にも、製作幹事のTBSにもストレートに伝わっているのだろう。現在、TBSの入口から正面玄関までの通路の天井で何十枚もたなびいているのは、佐藤愛子氏そっくりな草笛をメインにした広告。広告といえば、タクシー内で「いくつになってもシートベルトを…」と真矢が促す、草笛と唐沢との3ショット動画もあり、PRにも熱がこもっている。
90歳で映画に主演したのは草笛が初めてとのこと。2024年後半、各所で話題を呼ぶこと間違いナシの映画『九十歳。何がめでたい』は全国で絶賛公開中だ。
【プロフィール】
山田美保子(やまだ・みほこ)/『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!+』(メ~テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。