国際情報

詐欺容疑の邦人逮捕が相次ぐカンボジア 特殊詐欺グループが拠点を置く事情

カンボジアから移送され、羽田空港に到着した特殊詐欺事件の容疑者らを乗せたバス。2023年4月11日(時事通信フォト)

カンボジアから移送され、羽田空港に到着した特殊詐欺事件の容疑者らを乗せたバス。2023年4月11日(時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、近ごろ特殊詐欺グループの逮捕と強制送還が続いているカンボジアの遵法意識について。

 * * *
 ここ数年、カンボジアを拠点にする特殊詐欺グループに闇バイトで雇われたという特殊詐欺犯たちの逮捕が相次いでいる。

 2023年4月にはカンボジアの南部のリゾートホテルに監禁状態にあったという日本人19人が現地の警察に拘束、日本に移送され、詐欺容疑で警視庁が逮捕。2023年9月にはカンボジアの8階建てのアパートに監禁されていた日本人25人が、現地当局に拘束、日本に移送、詐欺容疑で埼玉県警に逮捕された。容疑者たちは闇バイトなどで集められて現地に渡り、かけ子と呼ばれる電話詐欺の役割を果たしていたという。

 なぜカンボジアなのか。ある情報番組では当時、犯罪ジャーナリストが「東南アジアのリゾート地だと観光客に紛れやすく、空いている時間にリゾートを楽しめるといえば勧誘しやすい」と説明。連続強盗事件の指示薬たちが何年も逃げていたことで注目されたフィリピンなど、東南アジアのリゾート地で暗躍する特殊詐欺グループが増えているらしい。フィリピンの裏事情に詳しい暴力団関係者は、「フィリピンでは金さえ払えば、警察官が警察の動きや地元の動きを知らせてくる。公務員に物を頼むのも金次第」と話し、現地に詳しいビジネスマンは「フィリピンで何かしようとするなら裏金が必要。金を渡せば思うように進む」と説明した。

「カンボジアでは、警察は制服を着たヤクザ、裁判官は法衣を着たたかり屋と思ったほうがいい」。そう話すのはカンボジアの弁護士事務所で、リーガルアドバイザーとして働く日本人S氏だ。彼はまずこう前置きする。「カンボジアは1970年代のポルポト政権下で当時の人口の4分の1が虐殺されたといいます。10年前の国民の平均年齢は23歳、みんな生きていくのに必死でした。今でも平均年齢は26.5歳。工場などの最低賃金は200ドルほどで12時間労働、週休1日です」という。

「カンボジアでは警察官も給料が安いので、ワイロを払わないと誰も動いてくれない。逆に金を払えば何でもやってくれる。大概の情報は入手できるし、ボディガードもやってくれる。便宜を図ってくれます。乱暴な言い方をすれば、逮捕するのも釈放するのも金次第。日本の特殊詐欺グループにとっては居心地がいいでしょうね」。フィリピンの警察事情とカンボジアのそれは、共通するところが多いようだ。

関連記事

トピックス

12月6日に急逝した中山美穂さん
《元カレミュージシャンやじゃいの投稿へ違和感》中山美穂さん急逝で「追悼コメント」が波紋 SNS時代には「何を言うか」より「何を隠すか」が愛情
NEWSポストセブン
’25年中に公開予定の映画の撮影に臨む北川景子
北川景子、2025年公開映画で貧困にあえぐシングルマザー役“スタッフに紛れてどこにいるかわからない”ほど、生きることに疲れた姿を怪演
女性セブン
2025箱根駅伝の注目ポイントを瀬古利彦氏が紹介
【瀬古利彦氏が予想する2025箱根駅伝の構図】優勝候補の青学・駒沢・国学院の強みとウイークポイント ダークホースは「中央大です」
週刊ポスト
女性との間に重大トラブルを起こしていたことが判明した中居正広
《女性に解決金9000万円》中居正広を支えていた薬指に指輪の“10年愛”パートナー…トラブル前後で打ち明けた「お酒を飲まないと女の子と話せない」状態
NEWSポストセブン
元モノマネ芸人でクリエイターのおかもとまりさん
【元夫とは「パートナーシップ」継続中】おかもとまりが「業界関係の年下新恋人」について激白「息子も『早く付き合えば?』と応援してくれました」
NEWSポストセブン
大谷翔平(左)の目標とする二刀流はいつ復活するのか(右は真美子夫人)
真美子夫人も心配する「大谷翔平の左肩」の容態 整形外科医が回復への見通しを解説「本格的な投球再開まで2~3か月かかるのでは」
週刊ポスト
女性との間に重大トラブルを起こしていたことが判明した中居正広
《9000万円重大トラブル・中居正広》フジ幹部A氏との蜜月「オレが信長ならAは秀吉」 酒の場で「2人が興じたゲーム」
NEWSポストセブン
『極悪女王』の撮影秘話なども語った
【『極悪女王』で絶賛の嵐】剛力彩芽(32)が明かす「高すぎるドロップキック」の秘密 「3キロの壁がある」「体重計にはのらない」驚きの肉体改造
週刊ポスト
折田楓氏(本人のinstagramより)
《地元雑貨店が悲鳴》兵庫県知事選のPR会社・折田楓社長、沈黙貫くなかプロデュースグッズに思わぬ影響「クレームの電話もよくあって…」
NEWSポストセブン
女性との間に重大トラブルを起こしていたことが判明した中居正広、芸能界の親友である松本人志(右・時事通信フォト)
《女性とトラブルで解決金9000万円》中居正広が「芸能界の親友」松本人志に助言していた「『性の抑制』が自分でできたら……」
NEWSポストセブン
中村芝翫と三田寛子
《恋情ドライブデート》中村芝翫「愛人との関係が切れない…」三田寛子が待つ自宅との“二重生活”、愛車は別れを惜しむようにベイサイドを周回
NEWSポストセブン
セクシー女優への転身を発表した瀬戸環奈さん
【セクシー女優転身】1000年に一人の逸材・瀬戸環奈に60分独占インタビュー「水着と裸は布1枚あるかないかの違いでしかない」
NEWSポストセブン