コスパを重んじるイマドキの若手編集者・水野を演じる。諦めは早いが決して仕事ができないわけではない。意外に(?)水野に共感する人も多い。(c)2024映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会 (c)佐藤愛子/小学館
草笛さんとは祖父・片岡仁左衛門さんの時代から一家で交流がある。
「お目にかかったときに『仁左衛門の孫です』ってご挨拶したら、仁左衛門がわからない。それで『孝夫の孫です』って言ったら、『あら~』って。撮影をアップした日にいろいろ話したら、『恵比寿においしい焼肉屋さんがあるから今度一緒に行きましょうね』って言ってくださって。すごく優しいかたです」
まだ24歳の千之助さん。原作についてはどんなふうに思ったのか。
「もともと僕の母方の祖母が読んでいまして、先に面白いって話も聞いていたのですが、僕も佐藤さんの言葉には違和感がないというか、とても共感して、そうだそうだって思いました。
今回の映画でも感じたことですが、大変な時代を生き抜いてきた人の言葉や生き様をちゃんと受け継いで学んでいかないと、この先、社会が続いていかないんじゃないかって思います。昔の時代のいけなかった部分もあると思いますが、いい部分もあるはずですから。その意味で、僕と同世代には特に映画を見てもらいたいと思います」
今回、唐沢さんとのシーンでも印象に残ったことがあったという。それは、吉川(唐沢)が部下へのパワハラで異動を命じられ、元後輩の編集長・倉田(宮野真守)の下で働くことになったシーン。千之助さんたち部下が見守る静かな編集部で、吉川は突然大声で歌い出した。
「ギョッとしました。だって、台本にないですから。でも、それを見た時に、ああ、いいなあ、いつか僕もあんなふうに大きく芝居ができたら最高だなって思いました」
※女性セブン2024年7月4日号