50余年、野口吾郎が推しメンだという藤あや子
笑いも音楽と同じでリズムが大切!
野口:師匠や先輩からのアドバイスって本当にありがたいですよね。ぼくも先輩からいろいろ教えていただきました。たとえば、『カックラキン大放送!!』(日本テレビ系/1975~1986年放送)にレギュラー出演したときは、“笑い”について学ばせてもらいました。当時のバラエティー番組は、制作スタッフが皆、音楽に詳しい人たちだったんです。ぼくは歌の世界でやってきたから笑いがよくわからない。でも、スタッフの顔色を見て、彼らが笑えばおもしろいんだとわかるように。で、彼らはどんなときに笑うかというと、リズムがいいときなんです。
藤:笑いはリズムだった!?
野口:そう、歌も笑いもリズムなの。でもそうじゃなければぼくにバラエティーはできなかったと思う。リズムが崩れたら失笑される。笑われてはダメ、笑わせないとダメなんです。
藤:五郎さまは、歌だけでなく笑いのセンスもあるって思っていましたが、音楽と同じようにリズムを計算されていたからなんですね。
野口:堺正章さん(77才)と共演してから、よりリズムを意識するようになりました。あるコントで、荷物を片手に堺さんが電話を取ると、それは秀樹からの電話で、「五郎くん、五郎くん、秀樹くんから電話だよ」と言う場面がありました。それを受けてぼくが、「ぼくはここです」と言い、堺さんがこけるという筋書きなんだけど、リハーサルでは何も考えずに答えたら、堺さんから「五郎、それじゃあ、こけられないよ」と。で、気づいたんです。ぼくが自分のせりふにリズムをつけなかったのがいけなかったんだと。そこで「ゴローくん、ゴローくん……」という堺さんのせりふのリズムに合わせて答える。その結果、堺さんは見事にこけてくれました。
藤:そこまで計算して笑いを作っていたんですね。
野口:そう。ドアをノックするにも、「16分音符と16分休符を組み合わせて叩いて」って言われる。リズム感が問われるんです。
藤:驚きです!
(第3回につづく。第1回を読む)
【プロフィール】
野口五郎/1971年5月1日、15才のとき『博多みれん』でデビュー。その後、『オレンジの雨』(1973年)、『私鉄沿線』(1975年)など、数々のヒットを飛ばし、1970年代を代表するアイドル“新御三家”のひとりとして活躍。2022年に、桑田佳祐ら同級生5人と『時代遅れのRock’n’Roll Band』のレコーディングに参加。今年6月からコンサートツアー「Follow Your heart~こころのままに~」もスタート。
藤あや子/1989年、28才のときに藤あや子の名でデビュー。『おんな』(1989年)や『こころ酒』(1992年)がヒット。日本有線大賞などを受賞。料理が得意で、無類の猫好きとしても知られ、2020年には2匹の愛猫との写真集『マルとオレオと藤あや子』(世界文化社)を刊行。7月3日に新曲『雪の花』発売。9月8日に35周年記念コンサートを福井県・高浜町文化会館 大ホールで開催。
取材・文/上村久留美 撮影/政川慎治
※女性セブン2024年7月11・18日号