囲いが高く中が見えないようになっている
施設と関わりのあったある人物が匿名を条件に取材に応じた。
「逮捕された渡部は『自分の言うことを聞け』『俺は経営者だ』とメチャクチャなことを言う人でした。ヤクザとのつながりをほのめかすような人間で……。
施設の中で犬を殺したのも見てしまったことがあります。まずカゴに入れるんですが、成犬だから窮屈なんです。その上からビニールを被せてガムテープで止めて。そのまた上に大きな餌袋を被せて見えないようにしていました。このようにして窒息させるんです。『こういう事をやらないと儲からないぞ』とか言われて、それが嫌で(施設を)出た職員もいるようです」
どれくらいの数の犬を殺していたのだろうか。
「もう凄い数だと思うんですけど。嫌がる人の目の前では殺さなくなったんです。ただ、その人が次の日に行くと同じ状態で死骸だけがあるということが、何回もあって……。どれくらいの期間、渡部がブリーダーをしていたのかが分からないのですが、100匹とかっていうレベルではないくらいの数だと思います。他にも餓死させたりしていましたので……。
あそこは犬を閉じ込めっぱなしですので、鳴き方が異常です。散歩も無いです。ケージから出すのは交配する時だけですね。子犬が生まれたらオークションに出すんですが、そのための道具のような扱いです」(元関係者)
犬の死体の扱いも耳を疑うような内容だった。
「死体はゴミと一緒に出してました。業者が取りに来るじゃないですか? 糞尿とかのゴミに紛れて、新聞紙に包んで死体って分からないようにしていました。それだけだと重いから、ふっくら見せる為に上から新聞紙を詰めて、ゴミに紛れて出してた。弔うという考え方は、あそこにはまったくないです」(同)
取材の終盤、施設の出入り口付近に私服の女性がいた。
「すみません」と記者が声をかけると女性は慌てて、走るように敷地内の奥にある民家のような建物に入っていった──。