映像には顔が映っていないため表情はわからない。それでも腕を体の前でしっかりと組んでいることはわかる。これは脅威を感じている時や自信がない時、無意識のうちに自分の身を守ろうとしている仕草だといわれる。しっかりと力を入れて腕を組んでいるところをみると、インタビューを受けたのはいいが不快感をつのらせていたのだろう。
被害者遺族のはずが実は容疑者として捕まったという場合、受けていたインタビューを事件後に見ると、遺族としての違和感や犯行を暗示するような言動が見られることがある。遺族として思いを語っていたはずが突然、苛立ちを隠さなくなるなど、過去にいくつもの例が浮かぶ。
これと同じような言動が真奈美容疑者にも見られた。遺体が那須で発見されたことから、記者が「以前から、旅行でお二人で那須には」と問うと、彼女は「行けないです」と答えた。忙しくて行けない、ということだろうかと、私たちは勝手に想像してしまう。だが”行かない””行ったことはない”ではなく「行けない」という表現は奇妙でしかない。
犯人がまだ逮捕されていないことについて問われると「捕まりますかね?」と疑問形で答え、「犯人に対して憤りは」と聞かれると、しばらく沈黙した後、「まぁ分かんないですよ今は。考えたくないというか」と言葉に詰まった。被害者遺族なら犯人を一刻も早く捕まえてほしいと願うものだが、彼女の言葉や声からは切実な願いも家族を失った悲しみも一切感じられなかったのだ。
飲食店の経営権を巡ってトラブルになっていたという真奈美容疑者。「普通の家族じゃない」「トラブルが多すぎてわからない」「狙われますよね、派手だったし」と語った彼女だが、親を殺害しようと思ったきっかけはいったい何だったのだろうか。