休日23時台がアニメのホットゾーン
なぜ日曜夜にアニメで、なぜ在名局のCBCが制作するのか。
「アガルアニメ」はCBCテレビが「名古屋から、日本が、世界がアガるアニメを届ける」をコンセプトに開設したアニメ放送枠。あえて“世界”というフレーズを使っているように国内はもちろん世界中の人々に見てもらい、収益を得ていくことをねらった放送枠です。
今やアニメはドラマと並ぶ民放各局の最重要コンテンツ。下がる一方、今後の上昇が期待しづらい放送収入に変わるものとして期待され、特にネットの普及で経営が苦しい地方局にとって「いかに世界で見られるアニメとドラマを作っていけるか」が問われています。
もともとアニメは金曜から日曜の休日に絡めた放送枠が多く、日本テレビは昨秋から金曜23時~の新アニメ枠をスタートさせ、テレビ朝日も今秋から土曜23時30分~での新設が予定されています。週末の23時台はアニメのホットゾーンであり、なかでも「アガルアニメ」は休日が終わるタイミングだけに、「見ればテンションがアガり、日曜夜の沈んだ気持ちを吹き飛ばす」というコンセプトになったのでしょう。
くしくも先週6月30日に『鬼滅の刃 柱稽古編』が終了したばかりであり、『キン肉マン 完璧超人始祖編』は同作が引きつけていた日曜23時台の視聴者層をそのまま引き継ぐことが可能。はたして週刊少年ジャンプの三大原則である「“友情・努力・勝利”の象徴」と言われた『キン肉マン』に令和の視聴者はどんな反応をするのか。
そんな新たな視聴者層への対策なのか、往年のファンを喜ばせるためなのか。制作サイドは「過去のストーリーを凝縮した第0話からスタートする」ことを決断しました。「過去の名シーンを新たな映像で約30年ぶりに蘇らせる」というプロデュースによって、Xのトレンドランキング入りが期待できるのではないでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。