長年自民党を支援してきたという経営者が話す。
「商工会の飲み会で岸田さんの話になると、『(同じ広島出身の総理だった)宮沢喜一さんとはデキが全然違う』『あんなんで池田勇人さんや宮沢さんより総理でいる期間が長いんやから、悪あがきして見苦しい』とかボロクソ言われとりますわ」
まるで「王国崩壊」前夜だ。
地元支持者から同情される総理
もちろん、熱心な支持者も残っていて、岸田首相の行きつけの理髪店店主はこう話した。
「そりゃ地元にも岸田さんを批判する人はいますよ。岸田事務所の前にもそういう人が押しかけてくる。でも、お客さんと話をすると、“岸田さんがなにかやったわけじゃない”とか“安倍(晋三)さんの尻拭いをさせられている”だとか、みなさん同情的です」
地元支持者から同情される総理というのも、それはそれで情けない。
岸田氏の父・文武氏の代から秘書を務めた藤本裕保氏は、選挙に負けるとは思っていない。その“秘密”をこう語った。
「昔から、どんな逆境でも岸田さんは勝てた。だって敵(対立候補)がいないんだから。代わりがいないから選挙だけは勝つんです」
選挙分析に定評がある政治ジャーナリストの野上忠興氏の指摘(第1回記事を参照)の通り、岸田首相は有力な対立候補がいなかったから勝ってきただけなのだ。
現在も立憲民主党や日本維新の会など有力野党は広島1区の候補を決めていないが、地元の有権者からは「岸田首相を落とせる候補」の出現を期待する声が高まっている。
無党派層や若い有権者から名前が挙がる1人が、東京都知事選に出馬した元広島県安芸高田市長の石丸伸二氏だ。「都知事選の次は広島1区で岸田相手の戦いに名乗りを挙げてほしい」と地元商店主は話すが、地元がこんなムードでは怖くて解散など打てるはずがない。
※週刊ポスト2024年7月19・26日号