プロデューサーが局につきつけた辞表
では、なぜ日テレで放送されていた『どうなの課』がTBSで『どうなの会』として放送されたのか。この一件には『どうなの課』のプロデューサーだったX氏の意向が大きいという。X氏は『どうなの課』を制作していた中京テレビの社員で、番組を立ち上げた生みの親ともいうべき存在だ。番組関係者が事情を明かす。
「Xさんはもともと『どうなの課』をGP帯に昇格させることを狙っていました。日本テレビにも積極的に売り込んでいて、日本テレビ側も“それなら特番で試してみるか”ということで昨年4月と11月にGP帯で特番が放送された。視聴率や『TVer』など見逃し配信での数字も悪くなかったと聞いています。しかし、日本テレビの編成の判断は“昇格見送り”だった。
局としては数字だけでなく、他番組との兼ね合いもあったでしょう。ただ、この“見送り”判断で、制作していた中京テレビのなかで“このままGP帯に昇格できない番組を続けるより、新しい番組を立ち上げてGP帯を狙うべきだ”という声が強くなったんです」
前出・番組関係者によると、X氏は「GP帯に進出したときの企画なども温めていた」といい、思い入れが強かったようだ。そして、約5年続いた番組の打ち切りが決まるとX氏も行動にでる。
「Xさんは中京テレビの上層部に『数字が良かったのになんで打ち切りにするんだ』などと抗議しましたが、結果は覆らなかった。すると『判断が変わらないなら退社する』と宣言。結局、彼は退社し、『どうなの課』を放送できるメディアを探し始めた。どちらからの声がけかはわかりませんが……Xさんは現在もTBSで制作会社を変えることなく『どうなの会』として、番組を継続できたのです。『どうなの会』ではプロデューサーではなく、“企画・プロデュース”という肩書きで参加しています」(同前)
こうした経緯から、テレビ業界では“異例の事態”が生じたわけだが、日テレ側も困惑しているという。
「番組の打ち切り判断は制作している中京テレビにあるので、日本テレビとしては何も言えません。しかし、誰が見てもソックリな番組が他局で放送されているというのはどうなのか……局内では“抗議すべきだ”という声も上がっている」(日テレ関係者)
日テレに経緯、見解を聞くと「この件については中京テレビが窓口になっている」といい、局の見解についても同じ回答を繰り返すばかり。中京テレビに問い合わせるも回答はなかった。TBSにも同様の質問をしたが、「個別の番組の編成・制作過程については従来、お答えしておりません」(社長室広報・IR部)との回答だった。
視聴者からすればどの局で放送されているかはさほど気にならないが、業界にとっては大問題のようだ。まさに「それって実際どうなのか?」ということか