閃光が横切った
興味深い記事がある。〈レーダーにUFO? すは“有事”自衛隊機発進〉と題された「日経新聞」(1978年8月18日付夕刊)の記事だ。
報道によれば同17日深夜、北海道上空に現われた識別不能の未確認飛行物体を、根室分屯地のレーダーが捕捉。物体は高度900~1800mを上下し、約1時間後に釧路の海岸線付近で消失したという。ただちに2機の空自機が千歳基地からスクランブル発進したが、パイロットの肉眼や空自機のレーダーでは確認できず、自衛隊は「飛び方やスピードから飛行機ではなく、気球などの可能性も含め確認中」とコメントした。
元立正大学客員教授でUAP問題に詳しい科学ジャーナリスト・高野誠鮮氏が指摘する。
「当時、この事件について取材した現職の一等空佐から『空自のレーダーはカラス一羽でも識別できる。鳥や気球を誤認してスクランブルをかける可能性は低い』との証言を得ました」
また高野氏が、過去に米国のFOIA(情報自由法)を使い入手した米空軍の「ヒストリカル・レポート」にも、日本上空で起きたUAP事件が克明に記載されているという。
「1950年代から1960年にかけてのレポートで、当時の芦屋基地や板付基地所属の航空機によるUAP接近遭遇が記録されています。〈物体は強烈な閃光を放ち、消滅時に急激な垂直上昇をした〉〈航空機の前方を伸び縮みする閃光が横切った〉など、既知の自然現象や航空機などと異なる物体として報告されている。
レポートの中には『航空自衛隊規定に従い提出された』との記述もあることから、自衛隊と米軍が連携しUAP情報を収集・共有していたことが窺えます」(高野氏)
小泉氏をはじめとするUFO議連の活動で、「謎の物体」の正体が明かされていくのか。
※週刊ポスト2024年7月19・26日号