政界が本腰を上げてUFO(未確認飛行物体)に向き合い始めた。空飛ぶ円盤=「宇宙人の乗り物」としてロマンを掻き立てたのは過去の話。いまや「安全保障上の深刻な脅威」として喫緊の課題のようだ──。
「UFOというなじみのある言葉は、安全保障上はUAP(未確認異常現象)と呼ばれるようになった。『小泉さんの地元・横須賀で目撃報告が多い』とも聞いています。防衛省とともに問題に取り組み、議論を深める議連にしたい」
今年5月、超党派の国会議員有志89人による「安全保障から考える未確認異常現象解明議員連盟」(通称「UFO議連」、会長=浜田靖一・自民党国対委員長)が立ち上げられた。冒頭の発言は、発起人会で挨拶に立った同議連幹事長、小泉進次郎・元環境大臣の言葉である。
小泉氏といえば今年1月に衆院安全保障委員長に就任したばかり。今後はUFOを含むUAP現象を「国家安全保障にかかわる問題」と位置づけ、国に情報収集・分析の専門機関設置を求めていくという。議連の設立を呼び掛けた日本維新の会、浅川義治・衆院議員が話す。
「もともと私は国会の委員会で繰り返しUAPに関する質問を行なってきました。自国上空に現われた正体不明の物体を十分に調査もせず放置するなど、国防上あってはならないことです。安全保障委員会で2年間ご一緒した小泉さんも『浅川さん、ここまで来たらUFO議連を立ち上げたら』と議連設立を提案してくれました」
米国では2022年7月、米国防総省(ペンタゴン)がUAP調査機関「AARO(アーロ=全領域異常解決局)」を省内に設置。昨年8月には「日本はUAPの目撃多発地帯(ホットスポット)」とする報告を公表し話題となった。「国は危機感に欠けている」と浅川氏が続ける。
「米軍がこうした情報を把握しているのに、防衛省や自衛隊が探知していなければ由々しき問題です。万一、他国の最新兵器だったらどうするつもりなのか。そうした私の問いに、木原稔・防衛大臣は『完全に認識を共有し情報収集分析に務める』意向を示しましたが、安保委員会で答弁する防衛省の官僚は『公表すべき特異な事案は確認されていない』と答えるのみ。そもそも日米安保の下、米軍と緊密に連絡を取っている自衛隊がその事実を把握していないとは考えにくい。
複数の元自衛隊関係者からも話を聞いています。元空自幹部からは『正体不明の物体に遭遇したが2機の戦闘機の間をすり抜けていき、その写真も撮影した』という話を日本維新の会の勉強会で聞きました」