ワイヤレスイヤホンは適正な使い方を(イメージ)

つけているかわかりにくケースもある(イメージ)

「イヤホンをつけられない店なんて行かない」(どうぞ好きになさってくださいという話ですけど、なぜそこまで頑なになる必要があるのか)

「イヤホンのように見える補聴器もある」(店主が補聴器ユーザーを排除しようという意図がないことは、書くまでもない大前提だろうし、読む側にも十二分に伝わっています。「強いカード」を持ち出してきて、得意気に揚げ足を取っているに過ぎません)

 店の立場に賛同する側の意見も、じつに多種多様です。「当然のマナーだよね」「お行儀が悪いよね」と思ったとしても、「『当然』の根拠は?」「お行儀がいい悪いの基準は?」などと不毛なツッコミが入りそうなので、もっともらしい根拠を付け加えがち。「その店で食事をする限りは、店が決めたルールに従うべきだ」とか「客は神様ではない。店にも配慮すべきだ」とか……。知性をにじませたいのはわかりますが、いちいち話が大げさです。

誰も人の話に耳を傾けていない。イヤホンの話題なのに

 この手の論争は、盛り上がることで議論が深まるかというと、ぜんぜんそうではありません。むしろ逆で、盛り上がれば盛り上がるほど、話の流れがよくわかっていない人や、気の利いたことを言いたいだけの人が群がってきて、迷走の度合いを深めていきます。「イヤホン論争」でも、各自が「俺に言わせりゃ」と言い合ってるだけで、誰も人の話に耳を傾けてはいません。イヤホンの話題なのに。

 今回の「イヤホン論争」に限らず、これまでもラーメン店を舞台にして、食べ終わった丼にティッシュを入れるのは是か非かという「ティッシュ論争」や、店に入ったらひとり1杯以上注文すべきかどうかという「一人一杯論争」など、多くの論争が勃発しました。

 ラーメン店という誰もが行ったことがある場所で、誰もが目撃したことがありそうなシチュエーションで、人によって考え方や感覚に微妙な違いが生じる論点となると、たくさんの人が口をはさみたくなるのでしょうか。おいしそうなラーメンの香りと同じで、スマホやパソコンの中から、あなたを誘う魅惑的な香りが漂ってきます。

もしあなたがふらふらとネット上の論争に参加するとしても、あくまでヒマつぶしというスタンスを保つのがオススメ。「新たな気づきを得たい」とか、あるいは「違う意見の相手をやり込めたい」といった前のめりな動機で参加しても、嫌な気持ちになったり疲弊したりするだけです。ネット上の論争の勝者は、論争に参加しなかった人です。

 そういう意味で、こんなふうに「イヤホン論争」を題材にしたコラムをまんまと書いている私は、見事に惨敗してしまいました。どうぞ指さして笑ってください。でも懲りずにまた立ち上がって、元気を出すべくラーメンでも食べに行きます。もともとイヤホンは使っていないので、うっかり「当たり前のマナー」に違反してしまう心配はありません。

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