7月5日にデビュー52年目を迎えたユーミンこと松任谷由実(70才)。同日に放送された、自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組『Yuming Chord』(TOKYO FM)で思い出話として切り出したのは、母が大ファンだったという女優、杉村春子さん(享年91)の話だ。
「杉村さんは戦後の日本を代表する大女優で、ユーミンのお母さまは彼女が出演する文学座の公演に足繁く通っていたそうです。晩年は施設で暮らしていたそうですが、杉村さんからもらった直筆の色紙を部屋にずっと飾っていて、ユーミンは色紙が『(母の)心の支えになっていた』と述懐しました」(音楽関係者)
ただ、その放送でリスナーを驚かせたのは、前置きのひと言だった。
「お母さまについて『もう亡くなりましたが』と、その死を初めて公表したのです」(前出・音楽関係者)
ユーミンの母は1920年5月生まれ。当時の最先端の文化を楽しむ「モガ(モダンガール)」だった彼女は、杉村さんの舞台を含め、エンターテインメントの世界をこよなく愛したという。
「ユーミンも幼い頃からお母さまに連れられて、歌舞伎や演劇、宝塚などさまざまな舞台を見に行ったそうです。彼女自身、『いまの私になるための英才教育を施してくれた』と振り返ったこともあり、母への感謝の気持ちは強いといいます」(前出・音楽関係者)
その母が100才の誕生日を迎えたのは2020年のこと。新型コロナまん延による緊急事態宣言のまっただ中だった。
「会えない代わりに何かできないかと考えたユーミンは、母親が生まれた1920年を調べてみたそうです。すると、1918年から猛威を振るったスペイン風邪を克服してアントワープ五輪が開催されたことなど、2020年との共通項を発見。そこからイメージを膨らませ、『1920』という曲を完成させました」(芸能関係者)
彼女が母に思いをはせて制作した楽曲はほかにもある。
「2016年に発表されたアルバムに収録された『Smile for me』です。『笑って』と声をかけながら写真を撮ったり、思い出の歌を口ずさんだりする2人の様子が描かれ、『いつも私の心にはあなたがいるからね』と結ばれています。母との思い出を歌詞にしたためたものだそうです」(前出・芸能関係者)
ユーミンの両親は、東京・八王子の呉服店「荒井呉服店」を経営することで有名だ。2006年に父が他界した後は、ユーミンが母の世話を続けてきた。
「コロナ禍でお母さまに会うことが叶わなくても、リモートで誕生日を祝ったり2人の時間を大切にしてきました」(ユーミンの知人)
ただ、高齢の母との別れは近づいてきていた。
「2022年の初頭にお母さまがコロナに感染。それでも、驚異的な回復力をみせ、同年9月にはユーミンがラジオで『(母が)復活しちゃって』とうれしそうに語っていました。しかしその後、容体は急変。同年11月に102才でこの世を去りました」(前出・ユーミンの知人)
母の部屋に飾られていた色紙には、杉村さんの代表作『女の一生』のせりふである「誰が選んでくれたのでもない」という一節が書かれていたという。ユーミンは、自分に大きな影響を与えてくれた大往生の母の一生を、改めてかみしめている。
※女性セブン2024年7月25日号