日本人みんな、命の危険があるという意識も大事
暑さが命に関わるというのは建設など仕事の現場だけではない。教育現場もまた連日、同様の事故が起きている。
●7月4日 北海道北見市で学校祭に参加していた高校生が熱中症で搬送。
●7月5日 京都市で社会科見学中の小学生9人が熱中症、うち3人が搬送。
●7月6日 岐阜市で夏の高校野球予選開会式に参加した5人が熱中症、うち1人が搬送。
●7月8日 岩手県で女子高生が校内で熱中症による全身のしびれで搬送。
●7月10日 千葉県でイベント参加中だった吹奏楽部の中学生8人が熱中症で搬送。
直近の一部報道でもこれだけの事故が起こっている。それも北海道だから、東北だからと言っていられないほどに熱中症の危険は私たちの身近にある。むしろ北国のほうが「そんなに暑くなるわけがない」で油断して熱中症、というケースもある。
実際、7月15日には北海道各地で13人が熱中症の疑いで搬送された。いずれも当日は20度台後半で先の熱中症のケースほどの気温ではなかったが、サッカーの試合中だった10代からゲートボール中の80代まで年齢問わず搬送された。
7月1日から7月7日の一週間で全国の熱中症による救急搬送人数は9105人、ただでさえ高温多湿の日本、これから8月に向けてさらに増える可能性が高い。その中に自分が入っている可能性もあり得るほどに熱中症は身近な「命の危険」にある。日本救急医学会は8日、熱中症について「超災害級」と緊急提言した。
冒頭の建設会社役員は「実現が難しいことは承知だが」と前置き、こう話す。
「運送業界が法改正されたように、建設業界も細かく休憩時間や労働内容の規定、それを守らなかったことへの処分などを新たに設けるしかないのでは。また夜間工事に切り替えるにも近隣の理解が得られないことは多い。日本人みんな、命の危険があるという意識も大事に思う」
いわゆる「2024問題」とされた運送業界の法改正では、それまでの運転時間や休憩時間、そのタイミングや積み込み、荷下ろし、待機などが「休憩等」にされていたことに対する「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」が2024年4月から適用された。現場レベルでの実効性はともかくとして、これまでよりは労働者の側に立った改正であったことは事実だろう。